石川順一
黒いワンピースの少女が顔中白粉を塗りたくって、仮面をかぶった様な相貌で辻芸人見たいに行政法を講義して居ると、行政法の権威である二階堂行政が通りかかって見咎めた。
「君は私に行政法の講義をする許可を得たのかね」
と少女に詰め寄ると、義務付け訴訟について説明し始めた。
「条文を大切にしてください。行政事件訴訟法第3条第6項、この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟を言う。「次に掲げる場合」として第3条第6項第1号、行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。第3条第6項第2号、行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。です」
「だから?」
少女がぷりぷりして反抗的な態度を示すと二階堂は構わず
「当該義務付け訴訟を提起するに当たっては・・・」
「ええ加減にせい」
少女は怒って行って仕舞った。
「またあんたかよ」
黒い服の少女は冷たく二階堂をあしらった。
「またとはなんです。今日は差し止め訴訟を講義しに来ました。例によって条文を大切にしてください。行政事件訴訟法の
第三十七条の四
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決を・・・」
「ええかげんにせい」
二階堂は少女の飛び蹴りを食らった。
「懲りずに又来ましたよ。今日は差し止め訴訟の仮の差し止めです」
「あんたなあ、あたしは白粉を顔中塗りたくってまでも行政法の大道芸講義をしている・・・」
「今回も当然条文を大切に。(ついでに仮の義務付けも学んじゃいましょう)行政事件訴訟法の
第三十七条の五
義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる・・・
まだありますが・・・」
「人の話を無視すな!!!」
今度は少女のパンチが飛んできた。