リンクが張られていない作品には、感想文がありません。申し訳ありません。
1 救世主 杉原久郎さん作
2 遺書 松岡純平さん作
3 超有名三者対談 長井ミゲルさん作
4 東海道中乳栗毛 KAZUさん作
5 OH MY GOD 岡嶋一人さん作
6 娘が連れて来た男 しょーじさん作
7 食べたらおいしいロータスの実 ニコさん作
8 英雄 佐藤ゆーきさん作
9 精霊飛蝗の思い出 ファゼーロさん作
10 君に伝えたいこと 百内亜津治さん作
11 夢へ Default[でふぉると]さん作
12 モギ町 川島ケイさん作
13 彼女のアイランド 川辻晶美さん作
14 くだらない私 うめぼしさん作
15 霧 仏さん作
16 永遠に・・・ 緒方省吾さん作
17 カルアミルク 秋丸さん作
18 必ず当たる予言 Momoさん作
19 蒸発 越冬こあらさん作
20 屋上庭園の「君」 更羽さん作
21 千字本格推理小説「出口のない迷宮」 逢澤透明さん作
22 洗剤 羽那沖権八さん作
23 悔悟 鮭二さん作
24 夜を跨ぐ oshifumiさん作
25 鬼 吾心さん作
26 湖 小石川ももこさん作
27 窓 岡田聡次郎さん作
28 大好物 紅緋蒼紫さん作
29 恋愛 akohさん作
30 千文字聖書(特約) スベスベマンジュウガニさん作
31 くのいち 一之江さん作
32 警官殺し 藤次さん作
1 救世主 杉原久郎さん作
本能に忠実な生き物は、悩みや約束事で生きている人間からすれば悟りきったように見えないことも無い、かもしれません。私は魚ごときに殉じたくはありませんけれど。
形式としては、弱いと思われます。冒頭と結末以外の大部分は粗筋の状態で、なぜ彼がこのような結末に陥ったのか理解できません。状況は分かります。しかし仕事も彼女も友人も捨て去り、自らをも捧げ物にするに至ったこの殉教者の受けた啓示はいったい何だったのかと思うとなんか悔しいです。ニュース報道ではなくワイドショーたるべきでしょう。どっちかと言えば。
2 遺書 松岡純平さん作
この読みにくさは故意でしょうか。と申しますのも、締まった文章にもかかわらず論理が混乱していたり、宛て先不明の代名詞、びっしり詰まった文字が、独特な雰囲気を醸し出しているからです。故意ならば、様々な意味でつわ者でしょう。
自己完結的な思考の迷路の中に追い詰められていく心情が、よく表されていると思いました。普通は死ぬまでには至りませんが、その点に於いては主人公は天才的だったかも知れません。
3 超有名三者対談 長井ミゲルさん作
小説てゆーか台本のような気がするのですが。ま、いいか。
もう少し三人の個性が強調されていたら良かったかなとも思いましたが、そうするとイナゾーのキャラが今一つ立たないのが問題でしょう。レツゴー三匹でいえば長作でしょうか(違うか)。まあユッキーにしても、ソーセキほど豊富な持ちネタはないのですが。
どうもそもそも漫才むけのトリオじゃなかったのかも知れません。いや、実際そうなんでしょうけど。
4 東海道中乳栗毛 KAZUさん作
小学生の物語としては違和感の強い表現が並ぶのですが、多分、コミックだったらそれほど気にならないのでしょう。これは、コミックが小説よりレベルが低いとか言うものではなく、小説、ひいては小説を鑑賞する者の小説表現に対する保守性です。今時の小学生なら、こんなものなのかもしれません。
そういえば私自身チョコレートを恋愛のアイテムとして意識したのは、ランドセルを降ろしてから2年もたたない冬のことでした。しかも、ずいぶん昔の話です(しみじみ)。
5 OH MY GOD 岡嶋一人さん作
個人的な好みで言えば、「天使でした」で落として貰うよりは、質の落ちた天使がやらかした失敗を語っていただいた方が楽しめたと思います。……そんなありがちな展開は飽きた? そうかも知れません。
台詞だけによる展開は軽快で良いですね。ただ、この作品の場合故意にキャラクターを隠蔽している関係で、台詞からビジュアルを想起できない点が不利です。
6 娘が連れて来た男 しょーじさん作
理屈も動機も説明も何も無い、ただ真っすぐに暴走する潔い作風には清々しさすら覚えます。主人公にはひとかけらだに共感を持てませんが、ただ、彼はここまでイカレているにもかかわらず、様式を守って親に挨拶にくるのが何とも妙です。残念なのは、文恵さんに関する描写が殆ど無い事です。しかし青年くんの文恵さんの人格に対する意識の希薄さからすれば、こうあるべきなのかもしれません。
15 霧 仏さん作
霧と共に発車する得体の知れぬ列車。魅力的です。不気味な電車に乗ってしまう、という都市伝説的体験談は時々ありますが、特に夜の電車というのは格別何かありげなものです。
作品ですが1000文字としては資源の配分を誤ったように感じられました。列車の意味を暗示するのに、最後の一行だけではすこし足りないような気がしました。酔った彼女の描写が多いので少し減らすというのはいかがでしょうか。
16 永遠に・・・ 緒方省吾さん作
全体の雰囲気がとても良いのですが、ややそれに流されているようにも感じられました。もう少し理があっても構わないかと思います。
海と一体にならなければ孤独はトータルに合流できないなんて考え出すのは、本来、個の集合形態といえる地球圏において、もちろん人間だけです。そんな事を考えるようになった奴だから孤独なのだとも言えます。そういう意味では人間はすでに地球の生き物ではありませんし、トータルに戻るには一旦生命を還元しなければならない(死ぬ)のも、もっともかもしれません。
「島」というのはよくわかりませんでした。
17 カルアミルク 秋丸さん作
たいへん不躾な言葉で申しますと、最後まで読んでも他人事な話でした。隣の席のカップルの会話といった印象です。
それは読者の分身たる主人公が、一方的な聞き手の役目を与えられている事、にもかかわらず、その聞きたいだろう事は多くがぼかされているのが原因のように感じられました。
加えて、少し昔と変わったらしい圭子に対し、主人公の方は圭子が最初に口にした印象通り、昔の「何も考えてなかった僕」のままのように思えます。
この主人公では感情の移入は厳しいと思います。圭子を立てた方が受け入れ易かったかもしれません。
生意気を言わせていただきました。
21 千字本格推理小説「出口のない迷宮」 逢澤透明さん作
作品世界そのものをネタにする・探偵が犯人(?)なんて、良くも悪くも反則技の連打です。こういう手口は面白いのですが、なんだかまるで作者の志が低いような印象を与えていて損をしています。
余談ですが、子供の頃「少年探偵団シリーズ」の一冊を真剣に推理しようと読み始め、悲しい思いをした記憶があります。あれって冒険小説だったんですね……
22 洗剤 羽那沖権八さん作
一点のオチに収束させる話なのですが、本筋とはほとんど関係ないキャラの描写が割り込んで興味を散らせている感があります。「高校生の千世さんシリーズ(?)」である事を分かって読んでいれば別ですが。でも私は、念のため過去の作品を読み直すまで千世さんのことは忘れていました。
オチ自体は面白く、着目点に独特なセンスがあるなあと感じました。
23 悔悟 鮭二さん作
実はよく分からないのですが、とにかく悪夢に違いありません。
何だかよく分からないまま陰鬱な義務感に向けて走り続ける集団は、作者や我々自身の投影なのかもしれません。夢は時々、こういう形でいやな現実を復習させてくれる熱心な教育者です。
けど真意はやっぱりよく分かりません。考えず、感じるにとどめます。それが正しい鑑賞の仕方のような気もします(逃げた……)。
25 鬼 吾心さん作
悲しいほど善い鬼です。「泣いた赤鬼」とか思い出してしまいました。
言葉もさることながら、頭巾を取ると角が見えてしまうんですね。体の大きさは隠せないと思いますけれど。
でもほんとうは姿形なんて理由じゃない、鬼はそこに存在していたのではなく、人が自分や自分の集団を守るために、仕立てあげられて鬼ができあがるんだと。
だから私だって、いつ鬼に石を打つやも知れないし、石打たれるかもしれないと。
そんなふうに思います。
26 湖 小石川ももこさん作
南方のとある河口近くでは数十頭のジンベエ鮫が遊泳しているとか。大阪の水族館にいたそれは、ゆったりとゆったりと目の前を進み、いったい中身は本当に生き物なのだろうかと思わせたほどです。透明な水の中で彼らに囲まれたら、私の魂もすっかり透明になって、判別つかなくなるかもしれません。
って、そんな話かとも思ったのですが。
私は幸福すぎるのか不幸すぎるのか、まだ死に安らぎは見出せませんが、死に場所は選んだ方がいいんでしょう。衝動的に身投げしたくなるほどに美しく、神秘的な水というものがあるとすれば、こんな湖かもしれません。
27 窓 岡田聡次郎さん作
知らないうちに自分で死んだくせに、なんて身勝手な奴でしょう。しかも三年以上も経ってから。でも幽霊なんてそんなものでしょう。そもそも存在自体が現実離れしているくせに、なお不合理な持ち論を力づくで押しつけてくるのが幽霊のいやなところです。
いじめの対象となっていたタケシが一方的に悪いはずはありませんが、読者には幽霊としてのタケシしか見えません。相手の事などお構いなしといった態度が、タケシも「俺」をいじめているに過ぎないのではという印象を与えます。そういった輪廻を描きたかったとすればそれなりに成功しています。
28 大好物 紅緋蒼紫さん作
こういう作品はどこまでが作者自身の意思か分かりませんし、討論の場でもありませんから主張そのものにチャチャは入れません。
啓蒙癖?のある有坂くんと、全然反論のない説教されたがり青年「僕」のコンビネーションが今風といえましょう。「僕」はテレビの教養番組を見ているかのように一方的に有坂の言葉を受け入れていきます。昔のテレビには今より権威があったので、有坂のような役は専らテレビが果たしていたと思うのですが、今じゃ食堂のアクセサリーです。
有坂の喋りッぷりは、小説「リング」に出てきた某キャラをなぜか彷彿とさせました。
30 千文字聖書(特約) スベスベマンジュウガニさん作
面白いです。出鱈目な内容にかかわらず慎重に綴られていると思います。キャラは昔「少年ジャンプ」にいた魔王クンみたいでもありますが。惜しいのは、送信時のミスかもしれませんが、行の頭の一字空けが2カ所抜けていたこと。これが入っていればちょうど1000文字で題名通りだったのです。ふつう私は(他人がやる分には)これくらいどうでもいいのですが、気配りされた作品でしたので。
31 くのいち 一之江さん作
主人公が何の使命を帯びていたか具体的には分かりませんが、社内の権力抗争の一端でしょうか。目的はまさか暗殺ではないでしょうが。……たぶん。
空想(逃避)なのか現実なのか、比喩なのか設定なのか、そのあたりの曖昧な境界が心地よいです。
でも名刺を投げる忍者なんていない。あの「キャッツアイ」だって名前や連絡先までは予告状に書いてなかったと思う。ありゃ忍者じゃないけれど。
32 警官殺し 藤次さん作
好きな話なのですが、やはり1000字ではきつい内容だったかもしれません。あくまで一つの提案として述べますが、「映画を真似して俺も警官殺害だあ」なんて動機は、どうせ常人の読者には納得できないものでしょうし、納得させたいという意図もお持ちで無いでしょうから、その点において主人公の犯行前の描写は冗長といえます。ならばいっそ最小限まで割愛し、犯行とその間の心理にパワーを投入し「最高クールな」達成感に集中すれば、ラストの効果がより上がる、という作戦はどうでしょうか。
……だめかな。
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