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 リンクが張られていない作品には、感想文がありません。申し訳ありません。

1 人形峠 伊勢 湊さん
2 「1000字本格推理小説」 Ver. Momo Momoさん
3 家族 ちぇしゃ猫さん
4 水のない水槽の中で、 岡さやかさん
5 夜と君 ノアさん
6 どうにもならない 柿田桃子さん
7  織原桐哉さん
8 ある夜 K..さん
9 打ち上げ花火の夜は暗く 羽倉諒さん
10 レモン 爪木崎青也さん
11 知らないあいだに、さようなら 小沢 純さん
12 小豆洗いの憂鬱 南大介さん
13 10月28日終電 太熊さん
14 瞬間芸 北原伸哉さん
15 アシ 畷 昭俊さん
16 次はお前の番だ さとう啓介さん
17 しろくろ 幸野春樹さん
18 愚痴 岡嶋一人さん
19 そして世界が るーつさん
20 競泳 耕田みずきさん
21 合鍵 川辻晶美さん
22 ミステリーサークル 羽那沖権八さん
23 末路 紅緋蒼紫さん
24 ポケット 川島ケイさん
25 草原の羊 高橋英樹さん
26 俺は文才 太郎丸さん
27 リストラ桃太郎 越冬こあらさん
28 口喧嘩の法則 akohさん
29 社会的混乱は私の楽しみ 百内亜津治さん
30 バス ドライバー 有馬次郎さん
31  一之江さん
32 贋爺 鮭二さん
33 missing 更羽さん
34 ボスと呼ばれる男 蛮人S
35 デビュー前 アベタツヤさん
36 洗礼 ショート・ホープさん

Entry1● 人形峠 伊勢 湊さん
 ウェブで調べて知ったのですが、実際にある伝説を素材にされたのですね。それでも人食い蜂と人形がどう関連あるのか、やはりピンときません。そのへんが全体をぼかしているように感じます。
 「悪しき運命」とはこの地のウラニューム鉱床をさしているのでしょうか。私には、どうしてもそう読めるのですが。

Entry2● 「1000字本格推理小説」 Ver. Momo Momoさん
 一応核心に近づくまで主人公が推理していますし、推理小説と言えそうな気もします。でも解決には至りません。1000字では志半ばで倒れるしかない、という事自体が主題のようにも思えます。犯人を確信するも体制のワクに阻まれ倒れる主人公の無念は、そのまま読者の気持ちでありましょうか。

Entry3● 家族 ちぇしゃ猫さん
 四匹とも人間みたいです>次女(三毛)。
 家族と題されている割には親子の断絶だけが取り上げられ、兄弟は何気なく成立しているのが少し気になるのですが、素直な展開でまとめられていると思います。

Entry4● 水のない水槽の中で、 岡さやかさん
 映像の断片を連ねたような構成に思います。漠然とした印象の中で物語を眺めているような雰囲気は、言葉を積みあげて理解させるタイプの小説に親しんだ読者にとってはつらい所もあるでしょう。絵が見えるので読み進むのは容易ですが。

Entry5● 夜と君 ノアさん
 くっつきたがる世代なのですね。一緒になる事と融合は違うと思うのですが、まあ題材はともかく。
 最初から最後まで(たぶん中盤も)ほぼ全てが「君」への熱っぽい語り、しかもその内容は「君」との心的世界に没入しているので、私には読みづらく感じました。
 しかし「君」をそのまま投影できるような誰かを持つ読者なら、すぐに感情移入できるのでしょう。それは、筆者自身「周りの人が変に思っちゃう」と書かれているとおり少数派かもしれませんが、それでも読み手があるならば作品は成立する。そして小説は多かれ少なかれそんな要素を持っていると思います。
 ただ、私の好みではない、というだけのことなのです。

Entry6● どうにもならない 柿田桃子さん

Entry7● 月 織原桐哉さん
 死なれては彼も浮かばれません。それに彼女の悲しみの中心は、彼を失った事自体よりも、彼を疑い恨んだことへの後悔にあるので、彼女を生かし続ける事によってそれを膨らませ、彼女をもっと苦しめることが出来ます。小説書きって鬼です。

Entry8● ある夜 K..さん
 比喩表現が過剰で、そのこと自体は個性だと思うのですが、ただ、一文に山ほどの隠喩直喩を盛り込むため、構文が把握しにくくなっているように思えました。ところで金の指輪を投げたのは誰なのでしょうか。それが「私」か「撃った相手」かで解釈がずいぶん変わります。私は後者の方が好きなのですが。

Entry9● 打ち上げ花火の夜は暗く 羽倉諒さん
 なんかひどく残念な気がします。言いたい事は理解できるのですが、やはり人間様的な発想で言えば、不発というのは余りにもぱっとしない最後だからでしょう。ここは「地上で大爆発」が正しい選択と思われます。ひどい話になりそうですが。

Entry10● レモン 爪木崎青也さん
 物を買うでもなく、つまらない友人にプレゼントするでもなく、ただ放り出すという無意味な行為は主人公の閉塞感を刹那的に癒しましたが、さてそれからどうするの、って言われるとどうしようもありません。まあそれを言うなら梶井基次郎にしてもそうでしたが。

Entry11● 知らないあいだに、さようなら 小沢 純さん
 何の気なしの提案が、一気に破局へと進める。表面には現れていなかったけれど、亀裂は広がっていたのですね。まさに、さよならはいつだったんだろうという所です。
 しかし、単に主人公が呑気すぎたせいかも。この一ヶ月と一週間のリアクションからは、そんな印象もぬぐえませんでした。本来希薄な恋愛だったようにも思えます。

Entry12● 小豆洗いの憂鬱 南大介さん
 存在は自分が決めるのではなく、認知が存在づけるのかも。小豆を洗わない小豆洗いはどこに存在するのでしょうか。悲しいです。しかし本当の問題は小豆を洗わなくなった事ではなく、何もしなくなった事にあるのですが。
 私も「タイムカード押し」とか「定期券出し」とかいう名前だったらいやだなあ。でも実はそれが本名かもしれません。

Entry13● 10月28日終電 太熊さん
 「新しい何かを発見」というのも大仰な気がします。私の乗る通勤電車では対向シートの場合が多いので、書かれているところの「違和感」に全く共感をおぼえません。しかしたまに座って窓を見るときの気持ちは近いものがあります。
 ちなみに座る向きを変えることにも飽きたら、目を閉じて列車が逆方向に走っていると想像する遊びをお勧めします。急加速しながら停止する列車は気持ち悪いです。

Entry14● 瞬間芸 北原伸哉さん

Entry15● アシ 畷 昭俊さん
 実話でしょうか。
 これはひょっとすると、単に作者の日常を描いているのではないか、と読者に思わせてしまう嫌な作品です。ひたすら気色悪さのみが投げつけられている点は評価できます。でも主人公の足の付け根がどこにあるのかは謎です。

Entry16● 次はお前の番だ さとう啓介さん
 「次はお前の番だ」日野日出志のマンガかと思ってしまうのは私だけでしょうか。ええ、きっとそうです。
 相手を酔い潰しては悦に入るサイアクな酒飲み、てところなのでしょうか。話の状況が分かりにくくて読みづらいのですが、状況が良く分かってしまうのも何だかとっても気持ち悪そうな困った作品であります。

Entry17● しろくろ 幸野春樹さん
 しろくろは近所の野良猫といったところなのでしょうか。「僕」が子供の口調で喋るのはちょっと反則気味にも思えますが、切なさを出していると思われました。いつのまにか「死」を認識している所が少し気になります。

Entry18● 愚痴 岡嶋一人さん
 完全一発オチは博打ぽいところがあって、たまたま読者の勘が冴えていたとか、たまたま猫の話が続いたとか、そんな不運ひとつで悲しい思いをさせてしまうつらさはあるものの、ただ一点に賭ける潔さは魅力かもしれません。でも私はあまり書いたことありません。

Entry19● そして世界が るーつさん
 リセットという言葉が似つかわしいです。逃避してます。でも私たちの多くが持つ純粋な願望がそのまま描かれていると思います。世界中が等しくこう願っているとも思いませんが……。

Entry20● 競泳 耕田みずきさん
 学習マンガで昔こんなの読んだ記憶があります。キャラクターとしては主人公たちの単純な健気さが可愛いと言うか不憫と言うか単細胞と言うか(さむい……)。少年口調がなんか気恥ずかしいです。
 ちなみに実際は一番乗りが必ずゴールインできるわけでもなくて、仲間のために道を開いたりパワーを送ったりという少年ジャンプみたいなチームプレイの末、ようやく代表を送り出すんだそうです(本当?)

Entry21● 合鍵 川辻晶美さん
 前半のやや説明的な語りと、後半の事情通な幼馴染みとで急ぎ足にまとめられている感じです。物語そのものはとても良いと思いましたので、1000字に詰め込むボリュームではなかったように感じられ、残念でした。

Entry22● ミステリーサークル 羽那沖権八さん
 前段と後段の対応がわかりにくかったです。「円形脱毛の物理的理由はさまざまだが、その根本には見えないストレスがある、目に見えないUFOが存在するように」というわけでUFOの実在を暗示させるための結末と私には思われるのですが、リアリティとテンションの差で前半の印象が霞みます。

Entry23● 末路 紅緋蒼紫さん
 史実の光秀はあまり知らないのですが、ひたすら迷い悩みつづける男という彼のキャラクターには、戦国武将な主人公のくせにまるで爽快感がありません。しかし、その少々情けない人間味と知的な印象との対比が、光秀ファンにとってはいじらしいのでしょう。

Entry24● ポケット 川島ケイさん
 何か意味ありげでなさげな内容。最後の一行は、おおむねの読者の抱いた感想そのままなのではないでしょうか。これはすごい事です。そして何の文句も感慨も残らないのも主人公同様でしょう。少し困ってしまいます。

Entry25● 草原の羊 高橋英樹さん
 よく分かりませんでした。意思が感じられず殆ど何もしない主人公と、意思はあるらしいがやはりよく分からない彼女との物語は、抜け殻にも似た透明感に満ちています。あまり好みではありませんが、淡々とした進行には独特なものを感じます。

Entry26● 俺は文才 太郎丸さん
 文才というか、言葉の候補が次々出てくる様は日本語変換プロセッサみたいです。結局文章力に加えて、経験あるいは図抜けた空想(妄想)力がなければ駄目なのですね。耳の痛い話なので、この作品キライです。

Entry27● リストラ桃太郎 越冬こあらさん

Entry28● 口喧嘩の法則 akohさん
 能代が勝ったのは頭が良かったからみたいですし、けっこう都築もその理解者であり良いコンビなのかもしれません。となると一番間抜けな役をもらったのは、的外れなコメントを言いたい放題な「隣の解説者(語り手)」かもしれません。

Entry29● 社会的混乱は私の楽しみ 百内亜津治さん
Entry30● バス ドライバー 有馬次郎さん

Entry31● 蝉 一之江さん
 今年の夏はこんな男しか残してくれなかったのでしょうか。衝撃的な出会いも良く考えたら単に衝撃ですね。馬鹿なくせにのらりくらりと押しが強いセミがキャラクターとして魅力的です。主人公のご多幸をお祈りしましょう。

Entry32● 贋爺 鮭二さん
 実話でしょうか。
 これは良く分かりません。たぶん分からないと言い切っても赦されるようなテーマなのだと思います。でも題名は気になります。にせじじい? ガンジー?

Entry33● missing 更羽さん
 自分の気持ちを押し隠し、単なる部員どうしとして距離をおき続けたまま遠くなってしまった彼との時間は、もう取り戻せないし、また必要ともされない。セミの死体というのは少し象徴的に過ぎる気もするのですが、印象に残る作品でした。

Entry34● ボスと呼ばれる男 蛮人S
Entry35● デビュー前 アベタツヤさん
 語り手についてもう少し記述が欲しいと感じました。何の役割で会場にいるのかも良く分かりません(たぶん参加企業からのステイと思いますが)。そして彼女との繋がりもありません。ただ観ている以上に彼女との接触が無いなら、彼女を語り手にした方が良かった気がします。

Entry36● 洗礼 ショート・ホープさん
 月夜の描写がたいへん美しいと感じました。それがカナメですので、当然ながら美しいと感じさせなければどうしようもなくなってしまうのですが、良かったと思いました。



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 著作者   蛮人S   mail:banjin-s@gorakken.net