ドオル
伯父様の上海帰りのお土産は、愛らしい西洋人形でした。
古い人形でしたが、綺麗な洋服、髪、でも何より私の気に入つたのは宝石のやうに澄んだ青い瞳だつたのです。
その深い輝きをぢつと見つめてゐます時、ふと瞳の奥に、私を見つめ返す瞳のあるのに気付きました。「誰?」
よく見れば、それは私と同い年ばかりの女の子でした。
「私は倩蓮。待つてたわ。お友達になって呉れて?」
「私、私は、シヅと申します」
嬉しかつたのです。生まれつき病弱な私は外出も許されず、誰かとずつとお話できる事も無い、さう、一人でもいい、倩蓮のやうな友達が欲しかつたのです。私達は時も忘れ、お喋りを続けました。
「さうだシヅ、良いこと教へてあげる」
倩蓮が私を見つめながらいたづらぽく云ひました。すると鳶色に透き通る倩蓮の瞳、その奥に、またこちらを伺ふけはひが或るのです。
私はそうと顔を寄せ、瞳を覗きました。そこには、やはり同い年ほどの子が座つてゐたのです。
「プージヤと云ひます。始めまして、新しいお仲間ですのね」
私はすつかり驚いて、嬉しくて、思はずプージヤの手を握りしめて居りましたが、その時にはもう、彼女の黒い瞳が気になつてゐたのでした。
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