魔法使いの弟子
たんぱん、たらんと威勢良く太鼓の音が登ってくる。老婆はそっと椅子を立つ。や
がて駆け込んでくる、涼しげな格好の小娘。
「お婆樣! お元気で御座い……あああ」
娘はがくがくと床にへたり込んだ。
「馬鹿だね。お調子太鼓は足の疲れだけ後からどっと来るんだよ」
「知ってますわ」娘はしゃんと立ち上がり、隣にあった椅子に素早く座った。「でも
あの山道をアイテム無しで登るなんて酷ですわ。いくら若くっても」
「空飛ぶ魔法が覚えられない未熟を呪いな。で、用は?」
「まるまる草を頂けます?」
「またかい。最近村で赤んぼが生まれたって話は聞かないがね」
「不幸な犬が多くって」
「呆れた。犬の仔にやったのかい!」
「これは、村の子供達の為でもあるのです!」
「せがまれたんだね」
「――はい」
老婆は戸棚をかき回した。
「子供相手も程々にな。ほら」
「どうも」
「用が済んだら帰りな。そら、傘も貸してやろう」
「それで降りると、子供達が指さして笑うんです」
「なら山道を下りな。そのがくがくの足で」
「お借りしますわ」
娘は傘を受け取ると、ひらりと窓枠に飛び乗ってみせる。
「ではお婆樣、ご機嫌……あああ」
よろけてそのまま落ちていった。老婆は嘆息した。
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