悪魔の手紙

                              
 俺は1000文字小説を募集するサイトに、趣味で応募している。
 1000文字を超えないことが条件なので、最初は手で一所懸命
数えていたのだが、疲れるのでエディタ上で動く自動化プログラム
を書いてみたところ、これが結構使える。
 そこで、プログラムを掲示板で公開することにした。


題名 WIN+秀丸エディタ 文字数カウントマクロ
投稿者 善意マンS

 実際カーソルを動かしながら数えているので、「行末<->次の行の
行頭 移動の禁止」がオンになっていると動きません
 ここは投稿小説のサイトですので、マクロそのものの批評はご容
赦くださいね(^^;
(インデントは外してあります。ご了承ください)

#num = 0;
#continue = true;
gofiletop;
while (#continue) {
#chr = code;
right;
if ((#chr != 0) && (#chr != 0x0D)) {
if( result == yes )
#num = #num +1;
else
#continue = false;
}
}
message "文字数は" + str(#num) + "字でした";


 翌日見ると、俺の投稿にレスがついていた。それはあらかじめ断
ったにも関わらずマクロそのものに対する批評であった。

題名 何これ?
投稿者 必殺批評人三四五六
大仰で、それでいて幼稚な表現の連発。
読み進むのが辛くなる。
元々対象を選ぶ上、さらに動作条件を限定するなど不遜極まりない
作者である。


 俺は努めて感情を抑えつつ返事を書いた。

題名 RE:何これ?
投稿者 善意マンS
必殺批評人三四五六さん
確かに幼稚で大仰でしょうが、
それはこんな小さなリストでも解りやすい記法となるよう、あえて
冗長に書いている結果のつもりです
対象を選ぶのは事実ですが、それが不遜だとは思えません
いったい、あなたのプログラムがどれ程立派か、批評してみたいも
のです


 数日後、奴からメールが届いた。
「評価用プログラム」
 そこには不遜な挨拶と共にファイルが添付されていたが、しかし
それは数百キロバイトにわたるCのソースで、しかもコメントは一
切無く、何やら難解な記法が延々と続くものだった。
「これを全部読めというのか貴様は!」
 俺は怒りに指を振るわせながらも、とりあえず全体をざっと見渡
し、気に入らない文法上の問題点を列挙してやった。
(しかし、ちゃんと動くんだろうな)
 まともに動かぬプログラムなど、批評の対象にもならない。俺は
ソースをコンパイルし、実行させた。

 がりがりがり・・
 プログラムはやたらアクセスランプを光らせながら、一つのメッ
セージを出力した。

『全部読まない奴に、批評の資格など無いわ』

 俺のマシンは二度と起動しなかった。






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