あなたの色

                              
 あなたと一緒に色を感じる時間、幸せの一つだ。
 握らせてくれたティーカップを、私は静かに口元へ運ぶ。
 唇に射す熱い香気、そっと飲む赤色は柔らかく胸に広がっては染
み込み、薫りは深く私を満たして舌に微かな影を残す。
 暖かいカップの肌は薄く細やかで。指で軽く弾いてみると、凛と
して、なお温もりを持つ白色の響きが私の耳を震わせた。
 そして向かい合って微笑む、あなたは薄紫の色。冷たくはない、
決して熱いわけでもない、ただ真っ直ぐに注がれる淡い光が、私の
頬に触れては、ほのかに温めて行く。
 そんな時間の流れていく、私達のテーブル。
「そろそろ、行こうか」
 私は頷いて、ゆっくりと立ち上がった。あなたはすっと私の手を
取り、支えてくれる。
 店の外は、色とりどりのクリスマスの空気。いつになく深くあな
たの腕に掴まると、羊毛のコートの香りが私を包んだ。
「ああ、足元、段差あるよ。気をつけて、一段、二段」
 普段なら、絶対口にさせない言葉。ぶつかろうが転ぼうが、歩け
る限り、私は一人で歩く事にしている。
 でも今夜は特別、あなただけ、ずっと私の杖にしてあげよう。
「しっかり掴まってね」
「ありがとう」





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