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星祭りな夜 地の星の巻 午前3時。11月の星空は、いま真冬の配列で僕らを見おろしてい る、はずだ。 だが僕らは、渋滞の車中でブーたれているところだった。 「人がこんなに来るなんてなあ」 最初空いてると思った道路は次第に車の数を増し、河川敷へと降 りる辺りには、何台もの車が列を作っていた。目当ては僕らと同じ、 流星の見物だ。 33年周期の流星群が、今夜極大。星に興味が無くたって、何度も テレビで言われりゃ刷り込まれてしまう。 「新聞が悪いのよ。ここがお勧め観測ポイントだなんて書くから」 僕と違って彼女は昔からの天文ファンだが、出不精で寒がりで夜 更かしに弱いという根性無しでもある。おまけに車酔いにも弱いの で、近所の「お勧め」で我慢せざるを得なかったのだ。 僕らは車を路上に停め、歩くことにした。ステレオを響かせる車 の間を縫って河原に降りると、 「げっ‥」 そこはまるでお祭りだった。 ペンライトを持ったカップル、子供連れ、若い女のグループ、そ れを物色するグループ、なぜか犬を連れた人、裸電球を吊した夜店 では、たこ焼き、いか焼き、回転焼きが皓々と照らされ、僕らをす っかり脱力させた。 ふと見上げた空に、白い光が走る。 「あっ、あれ‥」 人混みから飛び出た流星は、ぱん、と破裂して落下傘になり、ふ わふわと僕らの頭の上に降りてくるのだった。 人の星の巻 ガレージに車を入れて戻ると、彼女は静まった住宅地の空を仰い でいた。 「ここで観てた方が良かったね」 うん、と頷く彼女の視線は、一つの星に向けられている。東の空 に輝く星は、よく見ると僅かずつ動いていた。 「何あれ」 「人工衛星よ。多分宇宙ステーションね。ポソキッキでガチャペソ が乗ったやつ」 「へえ、見えるんだ」 南の空に、突然新しい光が現れた。見た事もない明るさの星が、 じりじりと流れていく。 「あ、あれもか?」 「うん、きっと通信衛星のフレアね」 西の空には、赤い光が点滅している。 「あれはビルの屋上でしょ」 北の空に三つの星が現れた。正三角形の配置で回転しながら、ジ グザグに飛び回っている。 「あれも衛星?」 「ああ、あれは‥‥きゃあ」 目覚めると身体が重い。寝不足のせいだろう。彼女もつらそうな 顔だ。 「コーヒー入れるね」 僕はキッチンに立ち、ヤカンに水を入れた。 何だか流星より人の記憶ばかり残ってる。夜店、人工衛星、でい つの間にか帰って寝ちゃったらしい。星なんて本当、見に行くもん じゃないよ。 ※11/20 修正 そこはお祭りだった。 → そこは、まるでお祭りだった。 北の空に三つの星が現れた。三角形の配置で回る光が、ジグザグの軌道で飛び回っている。 → 北の空に三つの星が現れた。正三角形の配置で回転しながら、ジグザグに飛び回っている。 < 戻る |