ここでは、私が見聞きした奇妙な話を記します。
内容は概ね実話に基づいていますが、生来の性で多少の脚色が加えられていることをご了承下さい。
私の金縛り体験 ――または筆者自身による心霊体験の書き方講座――
一時「金縛り」に悩まされていた時期がありました。
私は「金縛り」そのものを心霊現象とは思っていません。
純然な肉体的現象であり、そこで体験する奇妙な現象も要は夢の世界の話だと考えています。
じゃあ書く事もないじゃんって気もしますが、心霊業界?においては、
金縛り状態ですらない単なる普通に観た夢の話でさえも
ネタとして取り上げられるくらいですから、まあ良いでしょう。
私は業界人ではありません。
さて、それでは始めましょうか。
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●第一段階金縛り
それは私が高校生だった頃です。
ある夜、眠っていた私がふと目覚めると、なんと身体が動きません。
びっくりして、なんとか動こうと努力しましたがなかなか自由が利かない。
そこで思い切って「えい」と気合いを入れたところ、
急に動けるようになったのです。
とても不思議な体験でした。
<評>
金縛りと言っても、色々なレベルがあります。
とにかく「意識はあるのに身動き取れぬ」なんてのは基本仕様であり、
その上に様々なオプションがついてナンボのものです。
きょうび、たったこれだけの話を真顔で語り始めても馬鹿にされるだけです。
まあ導入としてはこんなものでしょうけど。
●第二段階金縛り
一度体験すると癖にでもなるのでしょうか。
それ以降、私は頻繁に金縛りに遭うようになってしまいました。
しかも最初は単に動けないだけだったのが、
やがて足の上に、
何かが乗ってくるようになったのです。
それは仰向けに寝た私の、
伸ばした膝のちょうど「お皿」の上でして、
膝を逆に曲げられるような感覚、
痛いのに動けない、
かなりイヤなものでした。
努力してどうにか身体を動かした私は、
今度は横向きになり、膝を曲げて寝る事にしました。
これで膝の上に乗られる心配はない
――と思ったら、それが駄目なのです。
私は横向きに寝ているにも関わらず、
うとうとしてくるとやはり何かが膝の皿の上?に乗ってきて、
膝を逆に曲げられる不快感は止まらないのです!
<評>
少しオカルトっぽくなってきました。
「以降、私は頻繁に」というのは良いですね。
ごく普通の生活をしていた「私」が超現実の世界に足を踏み外してしまう、
できればそのきっかけを記述すればより良かったと思われます。
例えば「轢かれた猫を憐れんでしまった」とか、「にやにや笑う老人とすれ違った」とか、
日常ありがちな事を意味深に記述するのがよろしいです。
「何かが乗ってくる」という、意思をもった存在を暗示する表現は定番ですね。
ここを「膝の辺りに押されるような圧迫感」としますと、
正確かも知れませんが医学的な表現になってしまいます。
「膝を逆に曲げられるような」という、いかにも危害を加えられたような被害妄想的な、
かつ生理的に気色悪い言い回しも効果的に使われています。
ただ、何が乗ってきたのか、その辺りが明らかでないのが気になりますが。
後半、横向きになるくだり、
物理法則を超越した体験というのは多くの心霊体験談でポイントとなる箇所なのですが、
どうもこの話ではニュアンスが伝わりにくいようです。
これは単に筆力不足でしょう。
●第三段階金縛り
そんなある夜、私は夢を見ました。
奇妙な小さな老人が私の前に立っていて、
私の腰の辺りに何か小さな機械――その時は「おもちゃの戦車」と見えた――を突きつけたのです。
次の瞬間、腰骨に鈍い痛みが走り、私は目がさめました。
が、例によって体が動きません。腰にはまだ痛みが残っています。
どうしたものかと思っていると、
突然ベッドが震えました。
私を乗せたまま、ベッドが頭の方向へ動き始めたのです。
最初はゆっくりと、
引き摺られるように、
そして次第に加速して
ベッドはがたがたがたと走りつづけます。
走ると言っても私の部屋がそんなに広いはずはありません。
しかしベッドは一直線に走りつづけています。
ベッドの周囲は止まっているようでした。
そう、確かにベッドは部屋に置かれたままだったのです。
でも走っている。音をたてて加速している。
私の見えない後ろへ向かって。
そしてその上の私も、恐らくは部屋に横たわったまま、
意識だけどこかに走り去ろうとしている。
(やばいかも)
思った途端、ベッドはぴたりと止まり、静寂が戻ったのです。
<評>
なんだか盛り上がったような、そうでもないような。
小さな老人に機械を押し当てられるというのはUFO体験談みたいですね。
ちょっとピントを外す結果となったかもしれません。オカルトで通した方がいいです。
結末ですが、話としてはオチが欲しいですね。
助かった……しかしまだ恐怖はそこに残されたままだ、
という感じでお願いします。
●エピローグ
(やばいかも)
思った途端、ベッドはぴたりと止まり、静寂が戻ったのです。
(やれやれ……)
やっと身体も自由になり、助かった、と思った私の耳元で誰かの声がしました。
「……もう少しだったのに」
<評>
そのオチは聞き飽きました。駄目です。
●エピローグ
(やばいかも)
思った途端、ベッドはぴたりと止まり、静寂が戻ったのです。
次の日の朝は快晴となり、まるで昨夜の出来事など嘘のような爽やかさでした。
で、あの奇妙な老人はと言えば……
実はまだ、2階にいるのです。
<評>
よしなさいって。
●エピローグ
(やばいかも)
思った途端、ベッドはぴたりと止まり、静寂が戻ったのです。
その夜から、私が金縛りに悩まされることは無くなりました。
ただ、ひとつだけ困るのは、
以来私の意識は
常に頭の16メートル先に漂うようになったことなんです。
<評>
なんじゃそりゃあ。もう、いいです。