第8回チャンピオンofチャンピオンバトル詩人部門 Entry5
母が飲み過ぎて吐いた
最近では毎日だ
吐瀉物で敷き布団を台無しにした
父は介抱をしてるふりをして何度か母を叩いた
私はビデオカメラを回し
その様子を撮っていた
今後決して見ることはないであろうビデオを回し続けた
なぜそんな事をしているのか自分でもわからない
あなたや私の人生ってこれなんですか?
何日か前
両親を早くに亡くした友人が
「生きているうちに親孝行をしておいた方がいいよ」と
誰でも一生のうち一度は耳にするであろう言葉を口にした
友人には悪いが
私は母に早く死んで欲しいと思っている
出来るだけ早いうちに死んでくれると嬉しい
その気持ちを誰かに言った事はない
きっと誰も知らない
私は母を恨んではいないが憎んでいる
心から
何の疑いの余地もなく憎んでいる
早く死んで欲しい
出来るだけ早く
お願い
二階のベランダでタバコを吸った
いまだに両親の前でタバコを吸えない
どんな顔をして吸っていいのかわからないからだ
父は私が産まれた時タバコを止めた
静かだ
両親が年老いた事は
二階に響く階下の足音でわかる
昔はパタパタとうるさく
朝もその音で起こされたものだ
今は何の音もしない
二人が寝静まった頃
タバコをもう一本
明日の夕方母が買い物に行ったすきに
引き出しから金を盗もう
その金で酒を買って
しこたま飲んで
吐こう
さて
さっきのビデオでも見ようか
このタバコの火を
宇宙から誰かが見ていたらいいのに