第10回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry6
5548 が気になって仕方がない。いったい何の数字だったか全く思い出せないまま、ベットの上でもう数時間が経過している。無理やり閉じていた目を薄く開けると、暗闇の向こうで像を結んだのは赤色 LED の 3:45 AM。エアコン弱冷房の弱々しい唸りが、遠い世界から聞こえてくる。またこんな事で眠れなくなっているのか。いったい何度目だろう。久しぶりだ。
小さい頃から無意識に数字を覚えてしまう癖がある。気がつくと 19770905 のような数字が頭の片隅で泳いでいるのだが、なぜかその数字の意味だけが毎回必ず記憶からきれいに抜け落ちている。いつかどこかで見ているはずの、数字の亡霊。そいつに出会うと俺の A 型の血液は大脳の中心に向かって激しく流れだして、脳細胞を総動員した検索プログラムが自動的に動き出し、その結果何も手につかなくなる。車に轢かれそうになったり、メシを食い忘れたりもする。大抵はひと通り悩み苦しんだ挙句、その日の最後にベットの中で「あ、あいつの生年月日だ」などと地味にひらめいて落ち着くのだった。そんな具合で 9540056 はじいちゃんちの郵便番号だと判明し、118265 は新聞に載っていた宝くじの当選番号だったりした。4901777119215 がペットボトルのバーコードだとわかった時は真夜中だったが、思わず叫んでいた。そして気付く。俺はこの激しく自己完結で理不尽なクイズを、心底楽しんでしまっている変態かも知れないと。
しかし今夜の 5548 は何かが違う。検索の処理回路はすでに激しく疲労して、鈍い熱さえ帯びているのにまるで正解の気配がしない。とりあえず過去の回答パターンは通用しないようだ。時刻はすでに 4:32 AM。こんなに苦戦しているのは記憶にない。しかも、たったの 4 文字に。こんな時は思い切って思考を変えよう。もしかしたらアラビア数字ではないのかも知れない。漢数字に書き直してみる。五五四八。……え、四八?
その時、俺の中を何かが駆け抜けていった。ペットボトルの時をはるかに超える叫びが、八月の夜明けに響いた。そしてその直後には、島さえ飲み込む津波のような強烈な眠気と脱力感が襲ってきた。まさか、そんなオチだったなんて…。電源が落ち始めている大脳を駆使して、最後にパソコンを起動させる。そう、確かに俺はこの Web ページを見た。5548 は、チェック文字だったのだ。
http://www.qshobou.org/bbs/qshobou/bbs.cgi?num=4016&ope=sel#4016
…もう、寝る。