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第11回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry1

秘密不思議の国のアリス


 紅バラ幼稚園の事務所の顔田さんは、スベリ台を滑り降りた所と、砂場との少しの隙間に住んでいて、本当は紙で出来たお人形なんだけど、園長の魔法で人みたいに暮らしている。ゆり組のウメコちゃんが「絶対秘密」と念押ししながら、お昼寝時間に耳打ちしてきた。スベリ台とお砂場のあの隙間に住む本当は紙の顔田さん。ありえないけど、顔田さんならそこから園に通って来そう、怖いんだけど、なんか面白い。ウメコちゃん何でそんな可笑しなお話を知ってるんだろう。
それにしても、お昼寝の時間ってほんとナンセンス、これって先生達の手抜きなんじゃない? 眠くもないのに床に並べられ、子供達誰も寝てないし、みんなこそこそ変なことしてる。たぶんウメコちゃんみたいに見てきた様な嘘言ったり内緒話に尾ひれをつけて、ふっ。紙の顔田さんに尾ひれもついたら結構愉快、カエル顔だもの、そのまま池に放してあの人いきていけるわ、きっと。と、思ったとたん、落ちた。
落ちた先の血の池で、嘘つき共がゴンゴン鬼につぶされている。真紅の血ってこんな色なのね、香りはそうね、ストロベリーパイ「ご自由にお飲み」って立て札に書いてある。血の池って飲めるのね、どんな味? 怖いけど香りはチェリーボンボン。立て札に括り付けられたアルミのコップで少し池をすくってみた、指先についた血は、高級で芳醇で濃厚で上質なカカオ豆、ああぁ嗅いだだけなのに、雲貫くほど大きくなった。足元でつぶされてる嘘どもなんて小さいものね、ウメコちゃんも一度粉々になってから、お帰りの時間までにプラナリアみたいに再生すればいいんだわ、元々そうなのよあの子って。そんなこと気にしてたら幼稚園児なんてやってられない。きれいにつぶされてくれればいいけど、半端つぶれで生きるのはつらいわね。ともあれ雲から顔出して、何て素敵な宇宙の景色、雲の上では雲一つない青空がはてしなく広がってみたこともない大きな太陽、あつい、でも至福とか恍惚ってこういう感じ? 自信ないけど。
「誰かいませんか」
叫ぶと遠くに砂ぼこり、あっウサギさんが走ってきた。
「たいへんだ、たいへんだ」
「ウサギさん、なにをそんなに急いでいるの」
「おっ、メリーアン急げ、大陸から放射能の砂嵐だ」
「ええっ? どこに逃げたらいいの? 待って、ウサギさん。吹く風がなんか臭い、助けてっ!」
ウメコのおねしょの巻き添えくって、背も腰もぐっしょり目覚めは今日も最悪な気分。




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