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1000字小説バトル 3rd Stage
チャンプ作品
『素人探偵小渕優「手紙」後編』石本レオ
 え? 何だって?
 話によると、さいたま市で殺人事件が起こったのだという。私は、直ぐに埼玉の伯父さんの家に連絡を取った。
「もしもし、どちら様ですか?」
 伯父さんの声だ!
「あ、伯父さん! 東京の小渕優です」
「おう、どうした電話なんかして」
「さっき、おじさんが死んだってニュースで……」
「ああ、またそれか。親戚中から同じ内容の電話が掛かってきて対応が大変だよ。私は生きている」
「それなら良かった。それだけだから」
「ああ、またな」
 と、いうことは別人。胸騒ぎが収まってほっとした。
 翌日、ポストに手紙が投函されていた。消印は埼玉である。
『私ハ、アナタノコトヲ諦メタ。ダカラ、モウ心配スル必要ハ無イ。タダ、伯父サンヲ殺シタ。アナタガ悪イノデスヨ』
 漢字と片仮名を組み合わせた気持ち悪い文面だが、最後の一行は、思わず鳥肌が立った。
『伯父サンヲ殺シタ』
 伯父さんは生きているはずだ。電話越しではあるが、声を聞いた。元気な声だった。
 翌日、毎日のように送られてきた手紙が来なかった。犯人は、諦めたと手紙に綴っていたが本当のようだ。だが、代わりに一本の電話が入った。
「もしもし、優か?」
 電話の相手は、伯父さんと同じ埼玉に住む別の親戚からだった。
「冷静になって聞け。一昨日に上原の伯父さんが亡くなった。伯父さん一人暮らしだろ。近所の人が気付いて、警察は、強盗殺人って言ってる」
「え? それはおかしいよ。伯父さんと電話したんだ。元気な声で……」
「優、伯父さんは、寝たきりが続いていて、介護の人が毎日手伝いに来ているんだ。知らなかったのか? 電話に元気で対応できるはずが無い」
 じゃあ、あの電話の声の持ち主は誰なんだ。あっ、手紙。埼玉の消印。伯父さんを殺した……。犯人の目星が付いた。だが、捜索は極めて困難だ。今回、私は、何も出来ない。手紙を警察に提供することが唯一、私が出来る事だった。
 翌日、犯人は、意外にも早く逮捕された。海外逃亡を企んでいたのだ。だが、何故あのような手紙を送ってきたのかは分からない。
 その日、一通の手紙がポストに投函されていた。
『私ノ声、アナタノ伯父サンニ似テイマシタカ?』
 包丁を片手に持ち、血まみれの服装でニヤける犯人と刺された痛みに苦しむ伯父さんを不意に想像してしまい唖然とした。

 葬式で、変わり果てた姿になった伯父さんを見て思わず涙した。殺人事件を起こしてはならない。私は、そう誓った。


○作者附記:素人探偵小渕優「手紙」後編です。
内容が分かりにくいかもしれませんが自分なりに理解して楽しんでください。



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