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1000字小説バトル 3rd Stage
チャンプ作品
『和尚vs小僧』ごんぱち
 和尚さんと小僧さんが法事に出かけました。
 檀家はお寺からかなり離れており、和尚さんと小僧さんは随分と長い事歩いていました。
 そのうちに、小僧さんは少々もよおしてきました。
 そこで、道の端に立って、田んぼに向かってやらかそうとしていると。
「珍念、何をしておる」
「ええ和尚様、ちょっと小便を」
「これ、田に小便をするとは何事か」
「え、でも、水に小便だから目立ちもしないし……」
「田には田の神様がいらっしゃるのだ。罰が当たるぞ」
 和尚さんに叱られて、小僧さんはしょんぼりしながらも、もよおしているものは収まりません。
 道端に立っている大木に向かって、やらかそうとすると。
「これ、珍念。木には木の神様がいらっしゃる。小便をかけて良い道理があるものか」
 また叱られました。
 何とか我慢して小僧さんは和尚さんについて行くと、道の先に橋が見えて来ました。
「おお、川があるな。水を汲んで行こう」
 橋まで来た和尚さんが、川に降りて水を汲もうとしていると。
 小僧さんは橋の縁に立って、和尚さんの頭に思い切り小便をかけました。
「何をするか、珍念!」
「え、えへへ、だって、和尚さんの頭にはカミがないから」
 和尚さんはじぃぃぃっと小僧さんを見つめます。
 それから、黙って手招きをしました。
 小僧さんは薄ら笑いを浮かべながら、和尚さんの所へ降ります。
 和尚さんは足元の石を指さします。
「え? 何ですか?」
 小僧さんが石を覗き込むと。
「ひゃああっ! つ、冷たっ!」
 小僧さんの頭に、和尚さんがぶっかけました。
「な、なな、何をするんです、和尚様!」
「お前の頭にもカミはなかったな」
「あ、う、そ、そうですけど……」
 小僧さんは顎から滴を垂らしながら俯きます。
「良いか。我らは僧侶だ。僧侶は人を諭し導く者だ。それが、人目のあるそこいらの道端で小便を垂れる。そんなみっともない事をして良い道理があろうか? 外へ出るのならば、前もって小便ぐらいは済ませておくべきであるし、万が一我慢が出来んのであれば、そう言って素直に詫びれば、そこかしこの家で、厠を借りる事も出来たであろう」
「その、でも、和尚様も、ここでやらかしましたよね?」
「これは、ただの水だ」
 和尚様は、水筒を見せました。
「これに懲りたなら、立ち居振る舞いには気を付ける事だ」
 それから和尚様は、何事もなかったかのように先へ進み始めました。
「……いや、和尚様、頭は……洗って下さい」






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