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1000字小説バトル 3rd Stage
チャンプ作品
『不思議な箱』石本秀希
 私が幼少のころ、初めて『テレビ』というものを見たときは、不思議な箱だと思った。スイッチをつければ画面に絵が映って、それが動いて、同時に声が聞こえてくるのだから。
 当時、ブラウン管は、金持ちしか持っていなかった。それほどの高級品が私の家にあったのだ。私の家庭は、父親が金持ちだったことからテレビを買う事が出来た。そこで私は、確かに不思議な箱だけどどうしてそんなに値段が高いのか聞いてみた。すると父親はニッコリ笑って、この箱の中には、小さな、小さな小人さんたちが居て、一生懸命働いているのだよ。と、言われた。
 驚いた。それを聞いた日から私は、テレビという物に興味を持ち始めた。外側から中が見えないか必死に覗き込んだ。
 そんなある日、突然テレビが映らなくなった。電源が入っているか確かめるが、どうやら、きちんと入っているようで。壊れてしまったのだろうか。私は、突然の事に動転し、すぐに父親を呼んだ。
 父親は、壊れたテレビをおもむろに叩き始めた。私は、叩いたりしたら余計に痛んでしまうと言った。すると父親は、叩いてあげなくちゃと返した。そこで私は、どうして叩いているのか聞いてみた。すると父親はニッコリ笑って、小人さんが寝ているのだよ。こうやって叩いて起こしてあげないと。と、言った。
 私は、そうなのか。と思った。そして、一緒に叩いていると本当にテレビが映ったのである。そこで私は、テレビが映らなくなった時は、叩けば良いのだという事を知った。
 しかし、ある日、父親は、小人さんにも寿命があっていくら叩いても映らなくなる事があるのだよ。と、言った。テレビが私の家に来て5年。ついにその日はやってきた。
 そのときテレビは、上側や側面をいくら叩いても映らない。本当にただの箱になってしまった。私は、初めて大切にしていたものを失うということをここで経験することになった。
 その時、父親は、テレビを解体し始めた。巧みに道具を使い、解体されると、中に三寸ほどの人が倒れていた。
 あれ、小人って本当に居たの? と、衝撃を受けた。なぜなら、私は、もう八つになっていたのだから。この衝撃と小人の顔は今でも忘れることが出来ない。テレビの中に居た小人は、家の庭に埋められた。その日から私は、テレビの中には、小人が居るのだと信じている。
 現代のテレビでは小人さんたちは働きづらそうだね。だって、あんなに薄くなってしまったのだから。





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