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1000字小説バトル 3rd Stage
チャンプ作品
『誰だって殺されたいと思わない』石本秀希
「あれっ、今日って何日だっけ」
 たまに、日付感覚が無くなり、携帯やカレンダーを見ないと今日が何日なのか分からなくなるときがある。仕事や学校に行っていれば平日か休日かぐらいの区別は付くが、日にちと曜日が合致しない。

『13日の金曜に殺しに行く』
 こんな予告状が届いたのは、確か8日だったと思う。すぐに警察に届けたけど、こういうのは大概が悪戯だ。何の恨みがあってやるのか分からないが気違いな人間のする行動に興味はない。
「今日は11日の月曜日か」
 何てことは無い。カレンダーを見てすぐに日付は思い出せた。日にちなど思い出すほどのことではないのだが最近の私は、どうも日付感覚が鈍ってきている。
「もうすぐで私は殺されるのか。まあ、不安なら警察署に来てくれって言われてたし、今日はもう寝るか」
 悪戯に興味が無いと言ったが今の世の中何が起こるか分からない。殺人事件が日常になりつつあるのだ。私だって殺されてもおかしくはない。ただ、人を殺すのには動機がいるだろう。私に対して殺意を抱く奴がいるか。難しいことを考えていると眠れない。

 翌朝、私の住むアパートの周りをパトカーが囲んだ。よく見ると救急車も来ているようだ。どうやら近所で殺人事件が起こったらしい。
 被害者は、雪野明貴。
 そう、私だ。
 犯人は、予告状を送った奴だ。何故、11日に殺されてしまったのか。いや、11日に殺されたと思っているのは私だけだ。カレンダーが10月のままだった。13日の金曜日は、11月だ。
 これで話のオチがつくことはない。話が終わることもない。
 何故、私は殺されてしまったのか。もう、私は知ることが出来ないだろう。殺されてしまったのだから。胸を一刺し。たぶん即死だろう。心当たり? そんな人、いない。私は、孤独だったのだ。
 変わったものだ。殺人事件が多いとは思っていたが、まさか自分が被害者になるなんて思ったことはない。
 そういえば、私は、死んだのによく喋るな。死んだら何も考えることは出来ないはずだ。

「んっ、すべては、夢か」
 こんなリアルな夢を見たの初めてだ。
 目をこすり、起き上がった。
 目の前に薄暗いながらも全身を黒にまとった人物がこちらを睨んでいるのが見えた。黒い手袋の先には、何か鋭い刃物が見える、様な気がした。
「あんた、誰だ?」
「約束通りお前を殺しに来た」
 そうか、今日が11月13日だったのか。それにしてもお前、誰だ。
 私はそう思い、目を閉じた。




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