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1000字小説バトル 3rd Stage
チャンプ作品
『コピー』ごんぱち
「SHIT! なんてこったい!」
「どうした、スティーブ?」
「見てくれよダニエル、このミスコピーの数!」
「OH! 会議録で壁の貼り替えでもするつもりかい?」
「前に使った奴が、枚数をリセットしてなかったのさ!」

「――というミスをなくす為に、我が社はコピー機に新システムを搭載致しました」
「ほほう、どのような?」
「本機は操作者の顔を読み取り、操作者が変わったにも関わらず、設定を戻さずに実行ボタンが押された、つまりコピーを開始しようとした時には、警告が発せられます」
「ですがミスター・ウィルソン、同じ人間でも老眼鏡のかけはずし等で、操作中に顔が変わる場合があるのでは?」
「それを解決するため、顔認識用のカメラを全五箇所に設置し、立体データとして頭蓋骨構造をシミュレートします。その認識精度は一卵性双生児の実験でも九八パーセントを超える程です」
「それは素晴らしい。ですが」
「なんです?」
「そうなると今度は、それ程の顔データが悪用される可能性がありますね。公共の場には置けないのでは」
「顔データは別の利用者に切り替わるか、操作がないまま五分以上が経過する事で完全に消去されます。それらを回避して吸い出せたとしても、高度に暗号化されたデータは再構成不可能であり、解読に失敗すると当該端末に深刻なダメージを与える攻撃性も持ち合わせています」
「なるほど。その面は万全のようですが、警告というのはどういう形で成されるのですか?」
「音声と操作パネル上のメッセージで行われます。視覚、聴覚いずれの障害があっても対応可能です」
「しかしもしも視覚と聴覚両方が失われた操作者であったら?」
「それについては、新開発の軟質ディスプレイを操作パネルに使用し、裏面に点字ディスプレイを設置する事で、点字による警告が成されます」
「ううむ、素晴らしい。これならば導入しても良さそうだ!」
「賢明な判断です。このコピー機がアメリカ全土に普及すれば、ミスコピーの割合は全体のコンマ三パーセント減るとの試算も出ている。これは、アメリカ経済の更なる発展に寄与するものと確信しています!」

「――アメリカでは、複写の枚数をうっかり間違えると一瞬のうちに数十枚単位で紙が無駄になる事があるらしいぞ、同志」
「やはり資本主義は脆弱だな、ハハハ」
「そうだろうハハハ」
「……それはともかく、さっさと鉛筆を削ってくれ、同志。今日中にもう三枚複写しなけりゃならんのだ」





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