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1000字小説バトル
チャンプ作品
『砂場にドラゴンと美人の僕』葱
女になってみたかった。僕の友達は意気地のない奴ばかりで、落ち込んでいる男友達を慰めることは男にはできない、と思った。僕は単に情けない奴だ。ただ単にそうだ。
モニターの中を長身の格好いい女性として歩く自分をうっとりと見つめた。名前はそのまま、ネギにした。エリカとかクミコとかアオイとか考えたものの、やっぱりオカマじゃないので抵抗があった。
どんな服を着ようかワクワクするのなんて、現実世界ではあんまりない。男ものの服ってあんまり面白くないと言うか、センスがない、どれも同じだ、とかユニクロの女物のコーナーを見つつ思ったりするのは自分でもどうなんだろう、と思う。何でこんなに金がないのか。
さておき、南国めいた季節を思わせる背景の中、タンクトップに透けたサテン生地で少しフリルのついた大人っぽい黒い半袖のシャツを羽織り、上品な感じのミニスカートをはいた美女=僕は、上機嫌で空を飛んでいた。よく出来たCGで、ボブの黒髪が綺麗に揺れる。
小さな声が足下から聞こえた気がした。見下ろすと、手を振る人の姿がある。金髪の男だ。男の声をよく聞こうと、道路に着地した。
「あなた、初心者」
男は笑顔で手を振りながら、近づいてきた。何で分かったのだろうか。一応僕も笑顔を浮かべ、手を振り返す。
「長い間空を通過したので。 何かをしましたか」
男の声は抑揚が平坦だ。翻訳機が作動してるらしい。外人なのか。別に何もしてないよと答える。
「それは魅力的なアバターです。 現実さえそうですか」
ナンパされているのだろうか。僕は何となくバツの悪さを覚えて、男だ、と答えた。金髪の男は、ろくろ首みたいになって、笑った。
「面白いプログラムがあります。 あなたは一緒にプレーしませんか」
この場所に来て、少し開放的になっていて、僕はすぐに承諾した。金髪の男は、瞬時にドラゴンに変身して僕を掴み、雲の上の城へと招待した。空の旅はぞっとするほど綺麗だ。
男は、ドラゴンから中性の騎士の正装めいた格好に変わり、僕に大きく胸の開いた真っ白なドレスを着せてくれた。彼からはビャクダンの香りがした。
「そのソファーに座ってくれますか」
彼の言ったプログラムは性的なものだった。僕は自分でドレスの裾をめくり上げる。彼はまたドラゴンに変わり、猛るように炎を吐いた。
ドラゴンに犯される美女である自分を見た。ドラゴンの激しい笑顔が、凄く女性的に微笑んだ気がした。
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