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詩人バトル
チャンプ作品
『うたごえ洗面器』あべかめり
きこえる
ひねった蛇口から
なんでもなくただ過ぎてゆく日の
なんでもない朝の鼻歌まじりの声
夢中でうたごえの水
ためた
洗面器に
夜空
空を上から見下ろすように
わたし
洗面器の中でゆれる
光や
草や
風や
雲や
月を
あなたの歌声と
眺めてる
ここにあなたがいないこととか
いつ戻ってくるの、とか、本当に戻ってくるの、とか、
そんなふだん背中に染み付いているようなことと関係なく
温かくあのもとへ帰りたくなるような光や
心底イキテルって感じでそよぐ木の葉っぱや草や
気持ちよさそうにただうつろっていく雲や
それらすべての鼓動のような月が
ほかに例えようもないくらいすばらしくうつくしく
洗面器のなかでさえこんなにも広大で
その同じ空の下
あなた
と
会い
話し
笑い
泣き
暮らしたり
することができたこと
ほんとうに
ほんとうに
奇跡
みたいで
ほんとうに
ほんとうに
よかったって
思ったら
ぽつん
空に波紋、できた
この
わたし以外
物音をたてない
この部屋の
この夜の
空気とつながった
どこかで
あなたが
呼吸して
ほんのちょっと
わたし
思い出して
歌、うたってくれてる
そんな気がした午前2時
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