QBOOKS
詩人バトル
チャンプ作品
『非常に個人的で愛しいアイダホ(東京に非ず)』佐藤yuupopic
ナルコレプシー。

世の中に突然眠ってしまう病があるなんて
ゆめゆめ思いもよりませんでした、
あなたを知るまで。

何処かで眠りこけて
戻って来られないのではないかなどと
気に病んでおりますが
情報も往き届いた便利な世の中にて
便りのないのは達者な証拠と信じて止みません。

あの晩
「黒い夢に追われて逃げ切れない」

すがりついた
あなたの
汗ぐっしょり
強い
痛い
腕。
未だ、
肩に、
赤々と
内出血した
指の跡
残って
消えず。
が、
愛しくて
たまらない


あなたが物心ついた時分より止むことなく慈しんできた非常に個人的で親愛なるアイダホは一体何処へ去ってしまったのだろうと
あれ以降
わたし、
あなたの代わりに
ずっとたずねて歩き通しで
もういい加減疲れ果ててしまって
そろそろこの旅も終わりにしても構いませんか。

そも、
あなたはあの晩以来、何処かへ(「煙草買ってくる」て)出かけた
まま、久しく戻りませんが
(あなたとわたし、移り変わるモノ旧き好きもの出て往くモノ戻ってくるモノ還らざるモノが混濁して訳がわからないなりに愛しい東京に暮らしながら、あなたの眼に映る都市は、わたしの眼に映る都市とどれだけ異なってどれだけ等しかったんだろう。そしてあなたの非常に個人的で親愛なるアイダホとどれだけ異なってどれだけ等しかったんだろう。)
久しく
戻りませんが、


「疑問は解決せねばなりません。」
学校ではそう教わりました。
この際
正否など一切問題ではなく
わたしは確固たる答えを欲している。

解くべきは以下、二点。

一、
あなたがこの二十数年の間止むことなく慈しんできた非常に個人的で
親愛なるアイダホは一体何処へ去ってしまったのか、

二、
あなたの眼に映る都市は、わたしの眼に映る都市とどれだ異なってどれだけ等しかったのか
あなたの非常に個人的で親愛なるアイダホとどれだけ異なってどれだけ等しかったのか、


以上、プラス、何よりも。

三、
いつの間にかわたし達の目の前から
はじめから何もなかったみたく忽然と姿を消してしまった
非常に個人的で愛しいアイダホ。
同様、
消えたあなたは
既にそこに住まって
そして
もう
還って来ないつもりなのか。

アイダホは。
あなたは。

突然眠りに落ちてしまう
あなたは
何処かで
眠っているうちに
たどり着いたのだ、と
信じて止みません。

肩に
にじむ
消えかけた
指跡

この

合わせ
信じ
かつ、
願って止みません。
心底。

作者付記:『マイ・プライベート・アイダホ』(ガス・ヴァン・サント監督)と、KKに寄せて。


TOP PAGE
ライブラリ
作品の著作権は作者にあります。無断の使用、転載を禁止します

QBOOKS
http://www.qshobou.org/
info@qshobou.org