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詩人バトル
チャンプ作品
『サイレントナイト』葉月みか
あてもなく彷徨うサーチライト
に
絡む
夜半から激しさを増すばかりの
牡丹雪
「明日の東北道は絶望的だな」
呟く
革巻きのステアリング
の
上で
三周目のR&B 刻む
指
エアコンの微熱
噛み殺し損ねた甘い眠気
紛らわそうと
流れる光 数えては
また
ちいさく欠伸
「龍がいるからね」
丁度さしかかったサビと裏腹なトーン
暇に飽いて差し伸べられた
手
髪かき分け うなじと遊ぶ
「龍?」
「銀の鱗 キレイ」
徐々に スロウダウン
連なり始めるテールランプ
それ反射したみたい
眠気 侵蝕して
上気する
頬
首筋の体温 するり 解けて
1620KHzを受信
フロントガラスの遠く向こう
鈍い緑色 天を目指し
雪とともに
朧
に
灯る
……ンクションヲセントウニジュウタイ2Km
「さっきコーヒー買えば良かったね」
ニュートラル
サイドブレーキ
を
引く
軋んだ音
「別に大丈夫だよ」
今や完全に静止
「一本だけ、いい?」
ほどなく紫煙 漂い
ほろ苦い香り
に
溺れそうになる
「龍はね」
灰 はらり 舞い
「迷子の雪女を迎えに来るの」
橙の明滅
は
眠る呼吸 そのもの
「溶けて消えたら可哀想でしょ?」
「何かの言い伝え?」
ギアボックス越しに 抱き寄せられる肩
シートベルト 外して
収まり
の
良い場所 ほどなく見つける
「いま、作った」
睫毛を伏せて
また
ちいさく欠伸
「明日、帰れるかな」
再びR&B
革巻きのステアリング
の
上で
無言の左手
少し 憎らしくて
戯れの フリ して
噛みついた
「少し眠っていいよ」
「溶けて消えちゃうよ」
優しく下げられる ボリューム
髪梳く 指
から
ほろ苦い残り香
牡丹雪 纏って
彷徨うサーチライト
に
懐かしい 龍
に
見つからないよう
に
腕 絡めて
ちいさく なって
息を そっと ひそめて
ひそめて
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