おやじたちの創作バトル


 1000字小説バトル会場


 バトル日程が実はあったのですが、おやじたちはやっぱりスローだから、そんな固い日程なんて忘れて、
 とりあえず、どんどん参加してくれるおやじたちを皆で待ち、ある程度になったらバーンとやらかしましょう。


エントリ作者

1─青野 岬
2─ラディッシュ・大森

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 エントリ作品

参加作品1─青野 岬

カレンダー

カレンダーに赤丸がついている。
妻が書いたものだ。妻は僕と結婚してもうすぐ五年になるのに、いっこうに子宝に恵まれない事をひどく嘆いていた。
カレンダーにつけられた仰々しい赤丸はズバリ!妻の排卵日のしるしだった。意を決して病院通いを始めた妻は、すでに「子を宿す」以外には何も考えられないようになっており、医者に指示された排卵日に子作りをする事を、僕にも強く命じた。
僕は妻を愛している。子供だって欲しい。だからこそ妻の言う事には全身全霊で耳を傾け、おしみなく協力する体制をとった。「赤丸の日」には、どんなに仕事が残っていようと、早めに帰宅して自分の役目を全うした。(その後に、持ち帰って来た仕事を片付けなければならなかったけど)
「不妊は、男性側に原因がある事も多い」と言われれば、妻と一緒に病院へ行き、検査を受けた。この検査は精液の中に、どのくらいの元気な精子がいるかを調べる検査で、新鮮な精液が必要となる。僕はエロ本とアダルトビデオとティッシュが置かれたその部屋で、投げ出したくなる気持ちを必死で押さえ付けながら頑張った。
妻の方はもっと大変で、かなり痛みを伴う検査もいくつかあったらしい。それに比べれば、僕も「恥ずかしいから嫌だ」なんて、とても言えなかった。そんな必死の努力にもかかわらず、こうのとりはなかなか僕達の所へは、舞い降りて来てはくれなかった。
そんな中で、妻はだんだんと追い詰められて行ったんだろう。僕も、仕事が忙しい事もあり、カレンダーの赤丸をだんだん疎ましく思うようになった。でも「しない」なんて、そんな事、妻が許してくれるはずもない。
それを察した妻が、どこかの怪しげな通販で真っ黒な下着を買った。僕をその気にさせる為に、手っ取り早く道具に頼ろうとしたらしい。僕の反応に手ごたえを感じた(らしい)妻は、それから次々とビデオテープやら、大人のおもちゃやらを買い込んで僕に迫って来るようになった。
家の中はものすごい「エログッズ」で溢れかえった。妻は必死だった。でも僕はカレンダーの赤丸を見るたびに、だんだんと憂鬱になり、しまいにはカレンダーを見ただけで吐きそうになる程だった。
やがて妻は目出たく妊娠した。それきり、まるで憑き物が落ちたようにエロには目もくれなくなった。僕はエログッズを全て処分し、まだ赤丸のついたままの古いカレンダーを破くと、クシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。


参加作品2─ラディッシュ・大森

悩み相談何でも受け付けます

 悩み相談何でも受け付けます、神様。
 というチラシがポストに入っていた。
 私はチラシにある電話番号をダイアルした。
「はい、神様で〜す。お悩みですか。」
「はい。」
「じゃこちらからもう一度かけ直しますので、お電話番号いただけますか。」
「それでは三分後にこちらからかけますので電話の側でお待ちください。」
 三分後に電話がかかってきて会う場所を決めた。

 喫茶店に行くと神様は約束道理に胸のポケットにバラの花をさして一番奥のテーブルに座っていた。
 私は挨拶して腰掛けた。
 神様は時計を気にしながら「悩みはなんですか」と聞く。
 私の男がほかの女と、るんるんらんらんいちゃつき、はらたって、はらたってならないと言った。
「あ! そう」
 私は泣きながら、もうくるしくって、くるしくって、つらくってと、テーブルに突っ伏した。
「はいはいそれでどうしましょう」
 もう八つ裂きにしてやりたい。生きたまま焼き殺したい。
 許しをこいているのを殴り殺してやりたい。
「なるほど」
「とにかくいてもたってもいられないんです」
「あ、そう」
「なんとしてもこの恨みを晴らしたい、思いっきり復讐してやりたい」
「よくあるタイプですな」
 私は気が抜けてだまった。

 神様はいった。
「いろんなコースがあります。オプッションもかなりのバリエーションで用意してあります。
 最近かなりエスカレートしてきて、なかなかえぐいですよ。
 具体的にいいますと、軽めなのは、性器が行為中に抜けなくなってしまうとか、病気がうつるとか、めかして音楽会に出かけた会場で生卵をぶつけるとか……」

 神様は私の顔をみた。
 私が不満げなのを見て取ると
「じゃ、もすこしお高いのは、生きたまま串刺しにする。
 生きたまま狭いおりに入れてなおかつ火をつけられる。
 土に埋めて首から上だけ土から出して、蹴る。
 ちょっと変わったので、性器が腐って落ちてしまうってのもあります。
 男も女も同じようにやるんだったら、代価は倍でなく少し勉強させてもらいますよ。
 これは実際やった人は喜んでいましたよ。
 男も女も腐ったのは相手のせいだと思って大げんかしてすぐに切れるからね。
 ただねぇ、今度自分が戻ってきた男を使おうと思っても使えないという、不便はあるね。」

 私はおずおず尋ねた。
「いったいいくらくらいのお値段なんですか」
「そうそう、それが肝心ですよね。私どもは明瞭な代価を提示しているとゆうことでも信用を得られているんです。あなたは肉親がいらっしゃいますよね。」
「はい」
「お子さんは」
「はい四人います」
「そりゃ、うってつけだ」
「?」
「いちばっん安いのは、第一関節から上ね。
 さっき言った性病にかかるとか、卵ぶつけるってのは、これくらいだね。
 その上が指一本、腕一本、もっと上は足一本とか、内蔵っててもある。
 もっとも四人もいるなら、四人から少しずつもらって、全部で内蔵分という計算もオッケーです。」
「何のことですか」
「え? あなた知らないの? 代価は、御依頼主の肉親の躰で払っていただくことになっています。
 躰で払うたって、パーツをいただくだけですから。」
「!?!?」
「つまり具体的に言いましょうね。
 さっきあなたが興味を持たれたお二方がそろって性器を腐り落とされるコースは、ですねー」
 神様は料金早見表をみる。
「長女さんの人差し指と、次女さんの耳、三女さんの片目、長男さんのアキレス腱、トータルしてお二方性器腐りコース代価に、ちょうど見あいます。
 三割引させていただきます。
 それにお子さんのパーツをちょうだいする際は、苦痛が無いように、しかも偶然の事故に見せかけていただきますから、安心ですよ。
 つい最近改訂したのです。あなたは運がいい。」
 私は喫茶店中聞こえるような叫び声をあげた。
「私は!私は!すっごく幸せです。これ以上の幸せはありません。
 悩みは全くまーーったーーーくうーーーありません!
 空は青く、街路樹は緑です。
 右足の次に左足がでる。
 ここまで三十分歩いてきたんです。
 ここのコーヒーはうまい!! あああ〜なんて幸せなんでしょう!!
 悩み? 何それ? アハハハハ!」

 神様はアタッシュケースを持ち上げて頭を下げた。
「ご依頼は取り下げられるのですね。
 料金は三十分以内なので無料ですが、ここのコーヒー代はあなたがもっていただけますか。」
「もちろんです、神様ありがとう。一生あなたに感謝し続けます。」
 私は神様に手を合わせた。
「一生あなたに感謝し続けます。」
「私は営業下手で・・また会社に戻ったらしかられます。ま、いたしかたない」
 神様が肩を落としてかえって行くのを、私はいつまでも見送った。


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◆スタッフ/マニエリストQ・3104・厚篠孝介・三月・羽那沖権八