第44回詩人バトル結果

おめでとうございます!

今月のチャンピオン作品は、
相川拓也さんの『月極駐車場』と決まりました。
前回に続いての受賞です。おめでとうございます。

エントリ作品作者得票
22月極駐車場相川拓也8
14鳴かない蛍は身を焦がしたヨケマキル3
27カサブタ木葉一刀2
1香月朔夜1
2スハヤクイック・マチマチカ歌羽深空1
3ドキドキしてるやまなかたつや1
6星空を見上げて藤原 けゐこ1
7詩に吹き込めるもの道人1
8ねがてぃぶ・しんきんぐK.N1
10マリオネットマリオが訴える儚さを悟りし者1
11神の痛みを僕は知らない早透 彰1
15シンク佐藤yuupopic1
17変化マリコ1
18ゆンべのことながしろばんり1
24ゴクフツウ空人1
28野蛮の血大覚アキラ1
31ラジオスターの悲劇ぶるぶる☆どっぐちゃん1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■月極駐車場  相川拓也さん
 
感想:なるほど、と素直に納得してしまいました(笑)。

票者:このバトルへの参加作者


感想:ふと、気分を転換させてくれるような詩でした。
今度「空」をみかけたらやってみようと思います。
青空とは限りませんが・・・
票者:このバトルへの参加作者


感想:ただ、好きです。それだけです☆
票者:このバトルへの参加作者


感想:今月も悩みました。
一撃で魂を貫かれるぐらいのがあるときは迷わないんですけどね。

今月、候補に残ったのは、以下の2作品。
『鳴かない蛍は身を焦がした』ヨケマキルさん
『月極駐車場』相川拓也さん

ヨケマキルさんの作品は、いつもの雰囲気とはちょっと趣が違って、それがとても魅力的。描き出される情景に、「遅すぎました」という言葉が、なんともいえない響きを奏でている。
相川拓也さんの作品は、ややもすると「ははぁ、ナルホドね」とニヤリとして終わり、という感じもしなくもない。だがしかし、この空虚さと読者を置き去りにするような語り口は、そういうモノを超えた魅力を感じさせる。

で、色々と考えたのですが、完成度というか、密度みたいなものを評価して、相川さんの作品に一票。
票者:このバトルへの参加作者


感想:何かホッとするような、何気ない日常の一場面という感じ。
同じ時間の別の場所では、よく乾いた洗濯物のにおいに癒されている自分がいるような
空想をしてしまいました。
票者:純粋読者


感想:「空アリマス」という言葉を見つけた作者。
きっとこの詩はそんなフレーズに導かれて作られたものだろう。
推薦の理由はそのフレーズを見逃さず、詩という形にしたこと。
夢と希望を感じさせる、いい言葉だと思う。
ただ、その後の展開、締めくくりに甘さを感じるのも確か。
とくに最後の「バカみたいに高い空だ」は本当にこの言葉が適切なのか、と思う。
短い詩だけにもっと言葉選びに神経を使って欲しい。
「空アリマス」を超えるいいフレーズが最後に欲しかった。

次点は木葉一刀さんの「カサブタ」。
気持ちが込められている詩であり、
それがしっかりとした力を持って伝わってくる。
しかし「記憶の声」と「女の声」がひとつになった、
という部分で読者は「記憶の声」の主が「女の声」と同じ、
つまり「記憶の声」の主も女の人、と思い違えてしまう可能性がある。
第11連でその「記憶の声」の主は、主人公の息子であることがわかるのだが、
いっそのこと主人公の「息女」にしたほうが良かったのではないか。
この部分だけが非常に惜しい。


票者:このバトルへの参加作者


感想:短くストレートな詩だったが、感じるものが多かった。
票者:このバトルへの参加作者


感想:きたー!
そうだよね、そういうときあるよね。
こういう瞬間を切り取った詩が好きだ。
僕の場合は秋の高い空がはっきり見えたね。
票者:このバトルへの参加作者


■鳴かない蛍は身を焦がした  ヨケマキルさん
 
感想:どこか懐かしい気がする詩に感じました。

票者:このバトルへの参加作者


感想:「ゆンべのこと」と「チャイニーズ ロックンローラー」と
この「鳴かない蛍は身を焦がした」で迷ったのだけれど、
タイトルがあまりに良くて、忘れられないので、本作に決定。

今回なんというか、味の濃い作品が多くて、面白かったと思う
(たとえば、「神の痛みを僕は知らない」とか「ディモーニッシュな夜」
「ゴクフツウ」なんか)
それに反して、あっさりした作品でよいのもあった
(「月極駐車場」「野蛮の血」など)

作品としていろんな味が選べるのはいいなあ、と思った今月でした。
票者:このバトルへの参加作者


感想:音がなく、ラジオがワタクシを連れ去りました。
戻ってくるのに、時間がかかりました。
今回は微塵も迷わず本作にわが票を捧げます。(佐藤yuupopic)

票者:このバトルへの参加作者

■カサブタ  木葉一刀さん
 
感想: どうしようもない状況への諦念と、あがいていた自分への侮蔑さえ混じったような冷めた視線。ドロドロッと一瞬だけ流れ出てくる悲しみが、何とも痛々しい。胸にまっすぐ突き刺さってくるような詩だった。

 次点、2つ。
「鳴かない蛍は身を焦がした」ヨケマキルさん
 何にも音の入っていない短編映画(それも10分も無いような)の趣。ラジオが出てくるから、音が無いわけは無いのだが、それでも、すごく静か。ぐっと押し殺したからこそ出てくる余韻が見事。

「ゆンべのこと」ながしろばんりさん
 緊迫していたのがふっと解けて、最終連、この一歩離れてみている感じが何ともいい。それから来る後味の「かるさ」がまた粋。ズシッと言うより、すとんと心の中に落ちてくるような。 (相川拓也)
票者:このバトルへの参加作者


感想:まず何より、木葉さんがこのような生々しい作品を書いた事がとても驚きでした。
離婚して家族と別れた と言う主人公の背景を読み取るまでが
ちょっと分かりにくい部分もありましたが、
風俗嬢に水鉄砲の撃ち方を教えるところがとても印象的でした。

次点は佐藤yuupopicさんの シンク。
シンクで真紅の辛苦が滲む感じが痛点にキました。
票者:このバトルへの参加作者

■雨  香月朔夜さん
 
感想:目に浮かぶのはただ雨が降るシーンなのですが、次々とそのピントが合うところが変化していき、様々な表情を見せます。
そんなシンプルだけれども優れた風景画のようなところにとても好感を持ったのですが、最後の最後に登場した作者の主観にも共感してしまいました。
文句なしに一票。
票者:このバトルへの参加作者


■スハヤクイック・マチマチカ  歌羽深空さん
 
感想:完全にタイトル賞。中身は、良かったけれど、期待ほどじゃなかった。もう少しいけたんじゃないか。

次点はなし。ほかに良かったものはありませんでした。
票者:このバトルへの参加作者


■ドキドキしてる  やまなかたつやさん
 
感想: ピックアップ。
1  雨    香月朔夜
 雨が主観でありすぎる。もっと、自分の心とは関係ないところに雨の存在があったら、深みが出るだろうにな、と思う。対象をしっかりと見据えられるかどうかで、随分違ってくる。
2  スハヤクイック・マチマチカ    歌羽深空
 このシリーズ、どんどん進化していくなぁ。
 ムチャクチャをやっているようで日本語を大事にしているのが素敵。
3  ドキドキしてる    やまなか たつや
 一昔前のアイドル歌謡風かと思ったらどっこい、メメント・モリ(死を忘れるな)だ。この辺の複雑さは捨てがたい。足元を救われた感じ。
4  三日月    ゆふな さき
 <ぼくの心はもう飛びたてはしないんだ ずっと>というのは無意識な自意識過剰なのでは無いだろうか。ここに自覚がでてくると一歩年負うのだ。きっと。
6  星空を見上げて    藤原 けゐこ
 註は醒める。400年だろうがなんだろうが、論文じゃないんだから、読者に嘘をつけばいいのだ。こういうのを、ヤボというのだ。
20  無情    檸檬
 言葉が確実になってきていて、今回のバトルの中ではもっとも美しい。
 でも、「無情」じゃあないとおもうのだ。無情を直視していない気がする。
22  月極駐車場    相川拓也
 ええ視点や。前回のチャンピオン作品よりずっといい。
27  カサブタ    木葉一刀
 水鉄砲の撃ち方を教わるのもサービスのうちだと思うと、かなり重い。
 男の傷心と女の「商売」がはっきり見えてくるともっと面白かったが。作者の意図とはズレてきそうなので留め置く。
 人生とは●●だ! なんていう真理発見の詩が苦手である。真理発見を別に否定はしないし、凄い作品では本当に眼から鱗が落ちる思いのものもあるけれど、おおむね「こんなこと、他の誰かはもう気付いていることだろうな」という読者への想像力が足りないと危ういことになると思う。一つのリアルな真実があったとして、その真実を踏まえた上で日常はどうなんだ、というレベルにまで引き上げないと、今ひとつ面白くない。
 良いものは良いものでかなり楽しめた。最終選考には歌羽さん、やまなかさん、相川君、木葉さんを残したが、やまなかさんの詩に「やられた」のでやまなかさんにしよう。本作は一つのギャグであると思うのだが、だがしかし、その違和感が生んだ裂け目は、まごうことなく一つの「表現」である。次点は他三名。(M)
票者:このバトルへの参加作者


■星空を見上げて  藤原 けゐこさん
 
感想:あたしも同じように思ったことが、かつてありました。
なので、この人の感性に共感したので、一票を。
票者:このバトルへの参加作者


■詩に吹き込めるもの  道人さん
 
感想:僕が詩に吹き込もうとするもの。
それがあった気がしたから。。。
票者:このバトルへの参加作者


■ねがてぃぶ・しんきんぐ  K.Nさん
 
感想:このテンポ、気にならない訳がありません。
票者:このバトルへの参加作者


■マリオネット  マリオが訴える儚さを悟りし者さん
 
感想: 今回はこれしかないです。手招きする「山手線」のチョイスも、中国故事から引いたと思われる「猿」(ボッコウの漢字が出ません・・)も、「迸る旋律」も「酔いしれる」も「はためく白旗」も「回禄の災い」も「忌避する現実」も。参りました。
 
 同じように電車が出てくるながしろばんりさんの「ゆンベのこと」も気になりましたが。詩として、なら「マリオネット」かと。双方の作者が小説を書くのならまたちがうのでしょうが。

 月極駐車場 (相川拓也さん) は読めてしまう。悪いことではないのかもしれないけれど、少し物足りない感。ただ、詩集の中にこんな詩がぽつりとあったらいいと思いました。

 会話 (凛一さん) も、一つで出すものとしては足りない感がありました。もちろんいろんな想像が頭をよぎるしそこからいろんなことを考えさせられます。ただ・・というところです。 
票者:このバトルへの参加作者


■神の痛みを僕は知らない  早透 彰さん
 
感想:「僕」の想いの流れや心の葛藤がよく表われていて惹きこまれました。
票者:このバトルへの参加作者


■シンク  佐藤yuupopicさん
 
感想:紅が、鮮やかだと思いました。
票者:このバトルへの参加作者


■変化  マリコさん
 
感想:このところ仕事に追われ、詩を書いたり読んだりする状況ではないのですが、この人の作品は、すっと心に入ってくるから好きです。
票者:このバトルへの参加作者


■ゆンべのこと  ながしろばんりさん
 
感想:かなり好みでした。リズム感や言葉の選び方や言葉使いや。これが無ければまたまた紫色さんの作品に1票でした。
票者:このバトルへの参加作者


■ゴクフツウ  空人さん
 
感想:フツウであることの退屈さや情けなさ、
そして大切さやありがたさなどを、
穏やかな視点で捉えているところが良いです。
フツウというのは、ある「安定」のかたち
なのかもしれず…それで私は静かに安定している
この作品が好きなのかもしれません。

その他に印象的だった作品は
「鳴かない蛍は身を焦がした」ヨケマキルさん
「シンク」佐藤yuupopicさん
「ゆンべのこと」ながしろばんりさん
「月極駐車場」相川拓也さん
「野蛮の血」大覚アキラさん
です。
票者:このバトルへの参加作者


■野蛮の血  大覚アキラさん
 
感想:もともとあった人間の何かが引き出されそうな感じでした。
票者:このバトルへの参加作者


■ラジオスターの悲劇  ぶるぶる☆どっぐちゃんさん
 
感想:秋なので静かなものが多いのかと思いましたが、今回は意外とそうでもありませんでした。
グルグルと下へ渦巻いて落ちてゆく感覚。
それが非常に不快で心地よかったです。
票者:このバトルへの参加作者