第46回詩人バトル結果

おめでとうございます!

今月のチャンピオン作品は、
檸檬さんの『チョコレートシティ』となりました。
8代目グランドチャンピオンの誕生です。おめでとうございます。

エントリ作品作者得票
14チョコレートシティ檸檬5
15 爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ) ヨケマキル 3
21まり と 水銀イグチユウイチ3
4Quit.ながしろばんり2
10 薬の使用方法 児島柚樹 2
1 白煙、揺られて 夢追い人 1
3べっそん1
5あの娘がつれない態度のとき有機機械1
12 海辺にて 大覚アキラ 1
16冬の記憶相川拓也1
17 藤原 けゐこ 1
18無言のM早透 影1
24 Love and Happiness 空人 1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■チョコレートシティ  檸檬さん
 
感想:檸檬さんの「チョコレートシティ」と、
ながしろばんりさんの「Quit.」でかなり悩みましたが、
今回は檸檬さんに投票させていただきます。

もう、カッコいいの一言ですね。
タイトルからして素晴らしい感性をお持ちであると分かります。
オープンカーで飴細工の街を駆け抜けていくような映像が浮かびました。
ながしろさんの作品も人形のようにばらばらになった「君」の
不気味でかつポップな感じが印象的でした。
票者:このバトルへの参加作者


感想:檸檬さんの詩は私にとって
読み解くのに力のいる作品が多いのだが
今回は書いてあるそのまま…
それ以上でも以下でもないのだろうと感じられる。
タイトルが好き。
チョコレートタウンという歌詞がでてくる曲を
最近よく聴いているのだが、
タウンよりシティの方がコトバとして好み。
木枯らしが吹いても白くならなくて、
甘ーい世界に一票。

他にも気になる作品はある。
あるけど今回は書かない。
どうしても書きたくなるような作品を
目にしたい。
自分もそんなものを書きたい。
票者:その他のQBOOKS作者


感想:スピード感というかリズムの勝利。
票者:このバトルへの参加作者


感想:微塵も迷わずに本作に票を投じます。本当に、この詩は、久々に、すとん、と、ビジョンをともなって、わたしの中に落ちてきた。愛おしい、狂おしい、大好きな人が、愛して止まない人が、いつか何処かへ往ってしまうことがわかっていながら、髪を、頬を、くちびるを、指を、触れていられる、傍にいられる、体温をカンジていられる、最後の最後のその時まで、全てがなくなってしまう、そのコンマゼロゼロゼロイチのイチ前の瞬間まで、気づかないふり、見ないふりで、一緒に目に見えない、走り続ける何かに、乗せられて運ばれていく、トランジッションし続ける、それが甘くチョッコレイトな二人の一瞬のハッピー。永遠と言葉にする程、何故かそれとかけ離れて往く、永遠は一瞬。檸檬さん、読ませて下さって本当に有難う。激しく、撃たれました。わたし、この詩、すごいと思います。佐藤世界では絶対チャンピオンです。

詩の力を感じた次点三点と、心に留まった表現を含む具体的な箇所は↓
◇エントリ15「爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ)」ヨケマキルさん
(発震が光速する/おれの名前は現れては消え/また生まれては死ぬ
/菌交代症の生活臭/いつの間にか部屋に住み着いた巨大鼠)
(the/time of/explosion   /end)
◇エントリ21「まり と 水銀」イグチユウイチさん
(右の中指から染みてくる紅い血を見ながら、/これが 病んだ私の中を走る河なのだと思いました。
/切れて 小さくめくれた皮膚の境目は、/二重の薄紅色をしていましたが、
/押し当てたガーゼを離してみるたび、/何故だかそこが 濃い紫色に染まっていくのでした。)
◇エントリ22「さようならラファイエット」ぶるぶる☆どっぐちゃんさん
(ボーダーのシャツなんて着ている俺はださいか?/ピンクフロイドも相当ださいと思うけどな)
(君にキーをあげよう/キーホルダーをなくしたんだろう)

ほかに心に留まった表現を含む六作とそれぞれ具体的な箇所は以下↓
◇エントリ4「Quit.」ながしろばんりさん
(ぶち撒けた焼酎が/君の髪に吸われて)
◇エントリ11「先生」やまなか たつやさん
(紙に書かれた世界広げて/サレム無き地に針を置く)
◇エントリ12「海辺にて」 大覚アキラさん
(だらしなく続く海岸線には)
◇エントリ16「冬の記憶」相川拓也さん
(蜘蛛の巣のはった蛍光灯)
◇エントリ24「Love and Happiness」空人さん
(夢は見るのか/夢は見たいのか)

’04年も皆様、力あふれる作品を読ませて下さって有難うございました。
さて、'05年はワタクシは何処へ往こう。そしてあなた方は。また一年で、
何処まで往けるか。お互いうんと、楽しみですねい。(佐藤yuupopic)
票者:このバトルへの参加作者


感想:すごくテンポというか、リズムの良い詩だと思いました。歌の歌詞になってもおかしくないかと思います。
票者:このバトルへの参加作者


■爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ)  ヨケマキルさん
 
感想: エピローグなどと言う言葉に騙されてはいけない。
ここから本当の出口ナシのショーの始まりだ。
票者: このバトルへの参加作者

感想: 爆発狂時代の後編である。前編に続き多くの謎がちりばめられている。読者は謎解きを楽しむもよし、狂人の思考の「傍観者」になるもよし。ただその爆発をまともに受けると怪我をするので注意が必要。
票者: その他のQBOOKS作者

感想: ぴかぷー。
6  下ヲ見タ  暇 唯人
 一瞬でもギャグに見えた時点で負けなんじゃないかなあ、と思う。
 実感としての緊迫感が見えない。

9  shell  望月 迴
 拙作「Quit.」の男女の女性側だったら可笑しいなぁ、と余計なことを考えた。

11  先生  やまなか たつや
 内燃機関、ちゅかな。内に籠もる熱のうねりであります。
 熱い。実にソウルフルだ。

12  海辺にて     大覚アキラ
 風の前の塵に同じ、ではないが腐乱した犬、と子供という世界に二つのオブジェクトも、所詮は一時の思考実験。イカス。

15  爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ)    ヨケマキル
 前後編含めて、このワクワク感を人に云ってはならぬ。
 おおっぴらに褒められないのは、本作が存在する桐咲十一における氷山の一角にすぎないからだ。
 瞑目してまたの出没を待て。警備を怠るな。

16  冬の記憶     相川拓也
 二連目だけでいい。二連目だけだったら勝者。

 11,12,15.せめぎあってます。自分が「書く側」である都合上、それぞれの詩においてどういう精神状態のときに出来るのか、ということを自分なりに考えるのですが、そうするとアレやな、やまなかさんも大覚さんも一瞬の出来事なのかもしれない。この三つはどれも非常に好きだけれども、業の深さということでは確実にヨケさんなのだ。で、一票。次点はほか二名。(M)
票者: このバトルへの参加作者

■まり と 水銀  イグチユウイチさん
 
感想:悲しいな。けどどうしようもない人の悲しみ。
そんなものを感じました。
票者:このバトルへの参加作者


感想:作者の気迫が伝わってくる作品。
適度にリアルで、映画のワンシーンのような完成度だと思いました。
票者:その他のQBOOKS作者


感想:詩というものはいまだによく分からないので読んで好きなものに入れると決めているので。その点でこの作品は散文詩的だったので入れやすかったというのもあるかもしれない。。あの雰囲気は小説にしてもいいのではないでしょうか。ステキです。

以下思いついたことをつらつらと。

べっそんさん「影」
最期の1行が非常に好き。
だけに前半のありきたり具合がもったいない。

児島柚樹さん「薬の使用方法」
何となく好きなんだけど詩として成り立っているのかなあという感じがしました。

マリコさん「子猫が死ぬ瞬間を」
時間の経過を○日目で書いてしまうのは安易かも。書きたいことは確かに分かる。という感じ。

そうでもいいですがエントリ19-21がマリコ、マリオ、まりとなんだか因果な感じがして少し笑えました。それだけ。
票者:その他のQBOOKS作者

■Quit.  ながしろばんりさん
 
感想: アプリケーションでも終了させるような呆気無さ、冷めた空気。中に音楽をたっぷり含んだ詩だと感じた。その音楽が余計に、独特の倦怠感を強調して、いい。最後に聞こえてくる、けだるい感じの、明るくもなく悲観的すぎもしないAm。この空虚で、無気力な感じがよかった。

 次点。
「爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ)」ヨケマキルさん
 単独というよりむしろ先月の「プロローグ」とセットで。狂気のやり場のなくなった世界への強烈な嘔吐。地の文(っていうのか)は、歪で破壊的で美しいオブジェのようだ。「遠い遠い未来」として語られるこの詩より、さらに遠い未来の社会に、釈然としないというか、暗胆たる気持ちになるというか。

「まり と 水銀」イグチユウイチさん
 昨今流行り(?)の妙に小綺麗な死のイメージとは程遠い、動物臭いリアルな死のイメージ。前半が夢幻的なだけに、「熟れた果実のように頭を割られた」というフレーズが強烈に飛び込んでくる。夏の死体が放つむせかえるような臭気。推薦作をひとつ選ばなければならないのが惜しいくらい。
(相川拓也)
票者:このバトルへの参加作者


感想:季節のせいじゃない寒々とした風が吹き抜けた。
さらばらばばらばらば。ちょっとした言葉使いだが、沁みた。
票者:このバトルへの参加作者

■薬の使用方法  児島柚樹さん
 
感想:同リズムの繰り返しが心地よいし、表現の仕方もおもしろいと思いました。
また、この手の題材は、バット・エンドか皮肉で終わる事が多いのですが、この作品はそのどちらでもなく、自然な前向きさがあって新鮮でした。
票者:このバトルへの参加作者


感想:個人的にこれが一番好き。
雰囲気、リズム。
脳髄を回る愛しいクスリ。
票者:このバトルへの参加作者

■白煙、揺られて  夢追い人さん
 
感想:【投票感想で全感想】

エントリ1 白煙、揺られて 夢追い人さん
あまりに今の自分とリンクしているような詩で、冷静に感想が書けません。それくらい頷け、響きました。痛みとともに、ありがとうを。

エントリ2 波紋 香月朔夜さん
わかる。そして、波紋を切り取ったところにセンスを感じる。少し説明っぽく、終わりに向かうのに迷いが見られる。そこがなくなれば、きっと、ぐっと、よくなる。

エントリ3 影 べっそんさん
それでもまだ、影に甘えている。なぜだかそんな印象を拭えない。なんでだろう。悲しいはずなのに言葉がやさしくやわらかいからかな。後悔より、痛みを受け入れてるからかもしれない。

エントリ4 Quit. ながしろばんりさん
なに?血なまぐさく陽気でハイで。実際に死体があるのか、それとも思い出の残像かは知らねど、
ぬるりとしたヤらしげな肌を連想させる語彙だなあと思った。去る、その瞬間の、けじめのをつけるための第一歩、そんな詩。

エントリ5 あの娘がつれない態度のとき 有機機械さん
ああ、なんかやさしい。有機機械さん、変わってきている、って最近詩を読んで思う。

エントリ6 下ヲ見タ 暇 唯人さん
そして今度は上をみて、今度は飛ぼうよ(笑)

エントリ7 気づかれない、あたし 香月さん
なんかわかるなあ。このひとりっぽさ。

エントリ8 世界 桜さん
いつだって世界は後戻りできない。みんな信じた道をまっすぐいくだけで、衝突する。善悪じゃなく、必要なのは理解する余裕・こころ・視線かもしれない……、と私は思う。

エントリ9 shell  望月 迴さん
ベッドと窓とカーテンに日が昇り日が沈む。シーツとともにある人が見えた。

エントリ10 薬の使用方法 児島柚樹さん
わはは。健全だなあ、と思う。そして、強いなあ、とも。でも薬がほしくなるときもある。うん。

エントリ11 先生 やまなかたつやさん
大切な友達。ジュンスイで、いいな、て思った。

エントリ12 海辺にて 大覚アキラさん
音のない風景。感情のない時間。永遠で瞬間。

エントリ13 流れ星〜叶わぬ願いの物語〜 人々さん
歌、朗読向きの詩で、この季節にぴったり。いない人はでもずっと閉じ込めた場所に住んでいるよね(笑)
生きつづけるだけで、それはすごいこと、だと思う。

エントリ15 爆発狂時代 QBOOKS特別編(グレイテストエピローグ) ヨケマキルさん
背中に針が刺さった感じと、スッキリした感じと、狂気と、それがすごくわかりやすく詰め込まれていて、すごい。
これは上演すると、きっといい。

エントリ16 冬の記憶 相川拓也さん
寒暖に浮かぶひとり。

エントリ17 空 藤原 けゐこ さん
ビルってアスパラガスみたいですよねえ(笑)

エントリ18 無言のM 早透 影さん
通常ラインをオーバーした気持ち、想いが滴る詩だと思った。

エントリ19 子猫が死ぬ瞬間を マリコさん
猫はなついていると、人に最後の姿を見せないように、どこかへ行こうとする。弱っていても。そんな、ウチで飼っていた
猫の最後の姿を、ヨロと去ろうとしながら崩れ視線があった瞬間を、思い出した。

エントリ20 碑癒 マリオが訴える儚さを悟りし者さん
そういえば実家のお墓参りをしていないなあ、と、思った。

エントリ21 まりと水銀 イグチユウイチさん
昭和初期の、質素な、それでいて清潔な病室。そしてまっすぐに白い命の持ち主の少女と、まっすぐにどす黒く死んだまりという猫。生と死と、毒だからこそ美しい水銀と。すべてが惹かれあい、混ざり、そして、消えてゆく。そんな感じでした。

エントリ22 さようならラファイエット ぶるぶる☆どっぐちゃんさん
きっと感想をかくと野暮ったくなる。バラバラに解体されたすべてが、素敵でした。

エントリ23 パペット イタリアン・ラッシュさん
なんだろう、途中という感じ。前後がありそう。息苦しさを感じる人、というかんじかな?

エントリ24 Love and Happiness 空人さん
3連目、上手い。でも、きっと同じ。灰色でも、甲羅の手でも、私たちと同じ。

エントリ25 真夜中のチンドン 佐藤yuupopicさん
点滅する悲哀。すべてが、まぶしく、きれいで、痛いほど、突き刺さるほど、悲しい。読んでほしい、この詩。

エントリ26 逃亡幇助 木葉一刀さん
大きく振れた感情が平坦になってゆくのが見えるような、シーン。映画みたいだ。

……ということで、今回は言葉の選び方も好みで、さらに自分とリンクするような詩が染み入るようだったエントリ1の夢追い人さんに1票。(檸檬)
票者:このバトルへの参加作者


■影  べっそんさん
 
感想:良く結婚された男性は、奥さんのことを「空気のよう」な存在といいますよね。
そう思うと、存在は感じないけど目には確かに見えている影は「彼女」を表現するのに男性からはピッタリかもしれませんね。
ただ、女性から見た彼氏は「影」と表現しにくいようにも思いますが・・・
票者:このバトルへの参加作者


■あの娘がつれない態度のとき   有機機械さん
 
感想: メッセージに惹かれました。
 ただ彼女のつれなさから世界と自己の関係への架け橋の部分に説得、納得を含む部分があればもうちょっとよかったかと思いますが・・。詩なのでこれに一票。
票者:その他のQBOOKS作者


■海辺にて  大覚アキラさん
 
感想: 海、犬の死骸、子供、消える、とかそんな先のないキーワードが散りばめられているて、私は好きで気に入りました。
私の家においてある、藤原新也という写真家の「メメント・モリ(死を想え)」と言う作品集の中身を思い出しました。
テーマが「死」なのに色は赤黒くなく、深い群青の世界。温かみがなく冷たさ漂うけれど、それでいてとっても土くさい。そんな写真集なんです。そこによく深い紺の空や海の写真、死体(と言ってもグロイ感じはないです。強く何かを感じるけれど)、犬と子供が多いです。犬はくたびれきった感じ。子供はどこか霊的な感じ。そんな写真ばかりで、この作品を読んで、その作品集を思い出しました。
票者: その他のQBOOKS作者


■冬の記憶  相川拓也さん
 
感想: なんだろうなぁ、一歩間違えればただの日記とも言える作品なのだが、
これはあきらかに詩だ。
そのビミョウなラインを狙っているのか、いないのか、
わからないけど、とにかく良かった。
票者: このバトルへの参加作者


■空  藤原 けゐこさん
 
感想: 後ろ向きな姿勢である私には
よく響いた
票者: このバトルへの参加作者


■無言のM  早透 影さん
 
感想: 良いんじゃないですかねさらっとしてて。嫌みが無くて。
票者: このバトルへの参加作者


■Love and Happiness  空人さん
 
感想:年老いた男。
一体どんな生き方をしたのか少し見えた気がしました。
一票!
票者:このバトルへの参加作者