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第55回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1英雄たき215
2月 と をんな凜一533
3ススメ 己が 有る限り麻倉未羽331
4たんぽぽ星空 ナラ97
5聖なる願い有機機械76
6幸せなあなたに。麻優64
7晩夏大覚アキラ304
8月の兎羽間159
9二つのじけんヨケマキル1677
10カプセルの夢望月 迴84
11イルミネーション、インスピラシオン佐藤yuupopic125
 
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エントリ1  英雄   たき


村を救い蒸発した青年
彼は英雄
やがて旅疲れた彼は村に戻った
変り果てた姿に誰も彼が英雄だと気付かない
薄汚い彼に恵んでやる者はいない
彼は泥棒になった
彼は罰を受けて死んだ
村人はその名をきく事なく
死刑囚を葬った



村を乱し追い出された青年
彼はろくでなし
やがて更生した彼は村に戻った
立派な姿に誰も彼がろくでなしだと気付かない
財産を作った彼は貧しい者に恵んでやった
彼は名を聞かれた
彼は嘘をついてしまった




英雄の殺された日
英雄の帰還を祝って宴が開かれた







エントリ2  月 と をんな   凜一


やってねぇ

そうでしょ せんせ

此処に来て もう結構にもなるけれど

味を分からんおヒトには

やっぱり食べられとう無いやない

そう

そう云うことなんで御座いますよ


忘れとうない 忘れて貰いとうないヒトなんて

居らんやったけど

それでもねぇ せんせ

折角やったら そう どうせやったら

美味しゅう食べて貰いたい

そう思うてしまうんです


ほら

此処からやったら よう見えますよ

世界は狭いなんて

笑って云うヒト居てはりますけど

全部見たこと在るヒトなんて

居らんでしょうにね

あら いえ そうやないの

あたしが云うたんは そう

お月のことですよぅ

今夜も変わらず綺麗やわぁ


お月は健気?

そない思うてはるの

え? ええ

あたしはそうは思わへんのです

お天道さんは

見たら目が阿呆に為ってしまいますけどね

お月は幾ら見たって

平気で御座んしょう

あたし だから

お月は見られ慣れてはるんやと

そう思ってますんよ

それに ええそれに

お天道さんの力使うて

こうして悠悠と輝いてはるんやから

結構なもんやないですか

あらいやや

風流もなんも在りゃしまへんわね

そうですか?

そう云うて貰えたら

あたしも有難いですわぁ


ええ 

でもね

此処から見える狭い狭い世界の中で

あたしはお月が

一等好きなんで御座いますよ

ほら

今夜もまた

しっかり光ってはるわ

ええ ええ

綺麗で御座んすねぇ












エントリ3  ススメ 己が 有る限り    麻倉未羽




愛が 此処に 在るならば
   私は 幸せモノ なのでしょうか?


夢が 此処に 有るならば
   私は 希望 を 持ち得るのでしょうか?


自由が 此処に 或るならば
   私は 笑顔 で 居られるのでしょうか?



人間の 生きる 理由が 何処かに 在る ならば
其処の アナタ   是非、答えてみて下さい。


"自分らしく" "正しい" "自分なりの"
      「ソンザイ」を



言葉が 空を舞い  戸惑い 隠せない のなら
生きる 価値など  粉程も 無いのだ と思うのなら



這いずりながら

         進め

そして  その路を

         勧めよ
         
そして  その人間を

         薦め

そして  その先に

        向かって
      


         進め


作者付記:詩の言いたい事、解ってもらえれば幸いです。
それぞれの漢字の意味は、もしかすると"ススメ"を変換して頂くと判るかもしれません。 ニュアンスで判るかもしれませんが。

皆さん、夏もそろそろ明ける頃かと思いますが、共に頑張って生きましょう。
では。
   ※人間→ひと  己→おの  と読んで下さいな。






エントリ4  たんぽぽ
   星空 ナラ


たんぽぽの種は
風にのって
飛んでゆく

たんぽぽの旅は
とても長い

でも たんぽぽの種は
どんなことがあっても
たえていく

そして最後には
ごほうびとして
きれいな花になる

私もたんぽぽになって
風にのって
飛んでみたい


作者付記:たんぽぽの花を見ていたら、この詩がうかびました。





エントリ5  聖なる願い    有機機械


ひとりエッチの後ってむなしいよな

恋い焦がれるあの娘のことや

仕事の悩みも全部どうでもよくなるよな

同じようにみんな

殺し合うこともばかばかしくなったらいいのに





エントリ6  幸せなあなたに。   麻優


泣く時は声をあげて泣いてください

笑う時は笑う時だけにしてください

雨の日は傘を差して

晴れの日は太陽に妬けて

全てはあなたの心になって






エントリ7  晩夏   大覚アキラ


汗染みだらけの帽子を目深に被って
叩きつけるような陽射しの中
スーツ姿のサラリーマンの流れに逆らうように
足早に歩くあなたを見かけました
頬には汗が幾筋も流れ
まるで涙のように見えました

あなたには
帰る場所もなく
待つ人もいないと
みんなはいうけれど

あなたの
過ぎ去った日々のなかには
帰る家があったのでしょう
愛した人もいたのでしょう

あなたが
どこから来たのかは訊ねません

あなたが
どこへ行くのかも訊ねません

人波の向こうに
呑まれるように消えていく
あなたの後姿を見送りながら
私にできることは
この
夏の終わりにしては強すぎる陽射しを
少しでも和らげてくれるささやかな木陰で
あなたのために
ひとつのベンチが空いているといい
そう願うことだけでした





エントリ8  月の兎   羽間


もう何もできない


誰も見向きもしないのなら


わたしがあなたを食べてあげる


生きている意味が無いというのなら


わたしがあなたを食べてあげる


胃腸や脳みそも


あなたの血肉全てを


わたしの舌で味わいつくしてあげる


そして満月の夜に


あなたを思い出してあげる


今や私自身となったあなたの


血肉の味を思い出してあげる


だから


さあ


早くその身を燃やしなさい





エントリ9  二つのじけん    ヨケマキル


もどり坂じけん


腐った魚が大量にもどり坂に散乱していたので大変驚きまして
隣の教徳荘の203号室(202だったかな)の
蓋上さんをあわてて訪ねたら
「ああ、あれは自治会長のSRさんがやったのだよ」
と平然と言い
「ほら、SRさんはミジリニジリ菌の保持者だろ
誰も文句言えねンだよ」
などとも言った

とにかく
誰かがあの魚を片付けなければならないということは
この町内に提示された歴然とした事実なのであるから
こうしてはいられないのです

さてまずは当然の事ながら芝居さんを訪ねました
彼はゴミを吹き飛ばす巨大扇風機を持ってイルので
あれなら魚を一気に吹き飛ばせるし
とにかくもどり坂から魚を一掃出来る
と希望を持っていたのです

遅かった

芝居さんの家、小屋と言った方がいいかな、に行ってみると
ああ、扇風機はものの見事に破壊されておりました
芝居さんの姿は無く
おそらく、そうですねえ、ほぼ間違い無く、
殺されて空気ガ原近辺に捨てられている事でしょう
空気ガ原はSRのテリトリーで
今までも死体が吊るされているところ見ましたので

さて困りました
ボクには人脈も道具も技術も無いので
誰か他人に頼るしか無いのです
しかし芝居さんがだめとなると頼れる人がいない
数少ない友人である二人
群髪さんはもどり坂周辺の空音波に体が焼かれる事に逃げ腰だし
伴陸氏はもどり坂特有のガスくさいにおいに耐えられなくて
B地区に引越したばかり

自分でやるしか無いのか

ちいさなシャベルしか持ってイナイ
気が遠くなる作業だけどひとつひとつすくって捨てに行こう

もどり坂に行くと

また少し坂が膨張していた事と

魚の数が増えている事に驚きを隠し切れませんでした






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▲
バラバラ・じけん


「あのう 犬なのよ うん 犬
 うちんとこのおばやんが飼ってる犬 うん
 ジェスっていうんだけどね
 預かってたんだけど死なせちゃってさあ
 この暑さのせいなのかなあア うん
 知られたらほんとおばやんに殺されるからさあ
 いなくなった事にしようと思って
 それでバラバラにして捨てに来たわけなの
 いなくなっただけでもきっとおばやん狂っちゃうと思うんだけど」

Lノ木さんのお祖母様が高価な犬を飼ってる事は知っている
しかしあのお祖母様が犬を死なせたくらいの事で
人を殺すほど怒るとは思えない

なによりバラバラにする必要があるだろうか

「ここここ ここならめったに人来ないでしょ?
 悪いけどここらシャベルで掘っちゃってくれる?
 僕トランクから包み持って来るから」

とてもじめじめして湿気虫が体中に張り付いたみたいだ
早いとこ片付けよう

それにしてもなんでボクに手伝いなんか頼んだんだろう
ま、お金もらえるからいいんだけど 

掘っているとLノ木さんが戻って来た

「じゃあこれねえ
 えーと6個ねえ」

6個の包みを地面に置いた

「さあさあ早くやっちゃお
 ああこれでおばやんに殺されないですむわア
 ありがとねえ
 
 いやあほんとの事言うとさア
 猟銃で撃っちゃったのよお
 うふぁふぁふぁふぁ」

もう少し掘り進め包みを1個づつ穴へ

最後の1個をシャベルに乗せようとした時
包みの布がほどけて中から明らかに人間の物と思われる腕が
転がり出た

「ちょっとお何それえ
 僕知らんよおマジでえ 何それえ」

Lノ木さんは少し震えてそう言った
とても演技とは思えなかった

ボクはあまり驚かなかった

すぐにシャベルでそれを穴に埋め
急いで土をかぶせた

「Lノ木さん 早く行きましょう!
 誰か来たらまずいですよ」

「うん」


今から20年前の話です

布に包まれていた物がなんだったのかはわかりません
帰り道車の中でLノ木さんは
「どこかで入れ替わったんだ」
などとあり得ない事を興奮気味に話していました

確かにLノ木さんのお祖母様の犬はいなくなっていました
Lノ木さんのまわりで人がいなくなった話は聞きませんでした

1人で掘り返しに行こうかとも思ったんですがやめました

犬
だったんでしょう

その一帯はその後の乱開発でリゾートマンションが建ち
今はどうなっているのかは知りません

Lノ木さんは数年前
おでこが腫れる奇病が完治してからは元気です









エントリ10  カプセルの夢    望月 迴


魅惑の 迷いの森で

瓦礫の 下に埋もれた

煌めく 宝の小箱

歪んだ タイムカプセル



宝の地図 描いたのは

僕らだけの ヒエログリフ



鈍色の扉

開けば聞こえる

忘れかけていた

君の声がする





エントリ11  イルミネーション、インスピラシオン    佐藤yuupopic


粘る、身体、溶けソに、湿ッてク
何度も、
な、んド、も
イルミネーション、インスピラシオン
バンドネオン、
ダだダッ、ダ
闇、
髪、
指、
熱、
俺、
からみつケ、
肌、
全部越えて、
アイツの奥に
ユく

いツまでも
とどめておきたイ
でも、
それ、
無理、

イ
ッ瞬、
最高オ
の、
お前
の、中で
旅