エントリ1 虹色 双
澄み渡った空。
さっきまでの雨が嘘のよう。
僕のココロのもやもやを吹き飛ばしてくれたんだ。
君に謝りにいこう。
些細な事で傷つけて、涙を流させたけど。
もう一度会いたいよ..
君の涙を雨とするなら
僕がつくった雨雲かき消し
虹色の光で照らそう。
君が僕の太陽になって、眩しい笑顔を見せてくれ。
エントリ2
上ヲ向イテ歩コウヨ 香月朔夜
上を向いて歩こうよ
社会を覗かないように
汚れた人の世
毒に満ちた声
上を向いて歩こうよ
悪魔が微笑まぬように
歪んだ心の音
想い腐った痕
上を向いて歩こうよ
涙が零れないように
静かな晴れた日
一人飛び逝く今
上を向いて
上を向いて
堕ちてぇくよ
青空届かないように
消え てゆ く ‥
消 え て ‥ ゆ く ‥
消 エ て ユ ク
‥ ボ ク。
エントリ3 ダイアモンドダスト 葱
腹の中にダイアモンドダストが降るらしい
僕は、一人でぶわぶわ太っていく
毎日、チョコやおはぎを食べる
ゲームをしたり、漫画を読んだり、インターネットをする
たまにクリエイティブなことをする
ほとんど仕事をしている
寝ている
ダイアモンドダストなんて、いいもんじゃなくて、
僕の腹の中には、脂肪のかたまりがついているらしい
中途半端に溶けた寒天めいた血液が流れているらしい
ニュースなんて信じたくないことばかりだけれど、
毎年、生まれてくる星と、流れていく星は似たような数いるらしい
僕には全く資格がない
思うことさえ的外れかもしれない
誰かの腹の中には、ダイヤモンドがあるらしい
流れていく
ダイアモンドダスト
美化して僕は逃げ回る
流れていく
本流にいる
進んで巻き込まれ、意地汚く終わらないでいる
エントリ4 存在と自由のアンチテーゼ トノモトショウ
雨
泳ぐ鳥
結晶化して
飼い慣らす肉塊
風待ちの長い眠りが
ゆらゆらと輪郭を奪えど
此処に在るものが完全だった
強迫観念の裏側に沈殿するエチル
一定のスピードで網膜を焼こうとする
ベルベットの闇に遮られた無菌室で発狂だ
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左手がソンザイを掴む 核 右手がジユウを撫でる
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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循環するドグマに沈む恐怖を覚えているか
強い腐敗性を持つ浮遊体の視線だけは
射殺しなければならないのであり
此処に無いものを俯瞰すべく
砂塵のように舞い上がる
漂う綿雲の中心にも
身を委ねるため
具現化して
翔ぶ魚
風
エントリ5
文月 氷雨水樹
手紙を書こう
最近交流のない友人に
学生時代お世話になった恩師に
大切な、恋人に
手紙を書こう
短冊に寄せた想いを
解き放つように
流れ星さえ見えない夜だから
手紙を書こう
汚い字でもいいんだ
ヘタクソだと思ってる字でもいいんだ
それで伝わるものがあるのなら
手紙を書こう
みんながメールを使う世の中だから
せめて
アナログな感情を優しく乗せて
手紙を、書こう
作者付記:ふみつきだから
エントリ6 密会 待子あかね
だれも傷つかないなんてわけもなく
だれも胸 痛ませないなんてわけはない
今宵きりとくりかえしながら
逢瀬をくりかえしながら
あいつの瞳に刺激を受ける
あいつのイミテーションに癒される
何もかも互いにわかっているんだ
ビニール袋を提げて タッチパネルの前に立って
いつだって 終わりにできるということを
今日が今日である理由なんて決していらない
空っぽの事実より確かなもの
イミテーションと 偽りと知りつつ
ゴーストと 幽霊のようにと 透き通っていても
それでも、密会は止められない
エントリ7
星に憧れる 飴子
お星さま お星さま
なんであんた
そんなにキレイに光ってんの?
そんだけキレイやったら
幼稚園でも人気者やろな
お星さま お星さま
なんであんた
そんなにキレイに光れんの?
そんだけキレイやったら
毎日笑ってられるんやろな
お星さま お星さま
なんであんた
そんなにキレイに光ってんの?
あんたのそのキレイさ
うちにもちょっと分けてくれへんかな
お星さま お星さま
うち知ってんねんで
あんたのその光はずーっと昔のなんやってな
じゃあうちがもっと大きくなったら
あんたみたいにキレイに光れるんかな?
エントリ8 飴玉 荘静侯
私の手の平から飴玉が零れ落ちたその日
雨が降っていた
雨粒に溶けたのかもしれないと
男や女は言う
そうか
私の飴玉が雨に溶けたのなら
それでもいい
あの飴玉は大事な飴玉だが
実にくだらなくもあった
或いは
雑踏の中で踏まれて粉々になったのだろうか
それから雨に溶け
側溝に流れ
地下へ行き
下水を通り
実に潔くもなく
海へ散らばったのだろうか
翌日千円を落とした
また翌日
一万円を落とし
さらに翌々日
財布まるごと落とした
それらはすぐ拾われ
財布は私の元へ
お金は誰かの元へ
それからも時は過ぎたが
その形も色も匂いも
誰も何もわからないまま
飴玉はいまだ見つからない
エントリ9
誰が誰が さつきばらかや
誰がおまえを信用するか
誤解を招く私の言葉
誰も私を信じない
誰がおまえを好きになるか
誤解を招く私の表情
誰も私を愛さない
誰がおまえを
もういいよ
私が消えれば全て解決
誰もが信じるその現実
エントリ10
『手紙』 syuukaidow
あなたのくれる手紙が僕に力をくれた
心の温まる言葉と優しさに満ちた言葉
その言葉の羅列に僕は癒される
その言葉の旋律に僕は安堵する
言葉を口にすると淡い霧になって心に染み渡り
言葉を思い出すと芽吹くつぼみのように心に花が咲く
かすれた文字にあなたの姿が浮かんでくる
離れていても近くに感じることができる
優しい瞳 美しい声 暖かい心
あなたのそばにいけたらどれだけ幸せだろう
あなたのすべてが僕にとっては愛おしく
あなたのすべてが僕を包み込んでくれる
返事の手紙をしたためる
この想いがあなたへ届きますようにと・・
エントリ11
非常階段 椿月
雨のにおいのしみた指先にて
雨宿りする天道虫
非常階段から空を見た
くすんで汚れた階段に座り
下からななつめ
頭部を安置して
まっさらなもの
ではないかもしれない空
指先に流れる雨
誰も来ない場所の
ひとつひとつに
なにかしらの物語が転がっていて
だれかのものだけの物語があるかもしれなくて
そのひとつを拾った私は
今はこの鉄屑に解ける
夏を覚えたなまぬるい風
どこからかだれかのはしゃぐ声
もうおぼろげにしか思い出せない
悲しい思い出は
遠く遠くに行ってしまえ全部どっかに消えてしまえ
願う声は安らかに不穏に
濡れた指先はいつのまにか
乾き
天道虫はいつのまにか 消えた
エントリ12
開かずの間 お気楽堂
誰も知らない開かずの間には
諸々のものが無秩序に詰まっていて
知らないうちに増えてゆく
猫が10匹
督促状の束
約束手形は半分燃えてしまった
チョコレートは万引きしたものだ
別れの手紙はインクが薄れて読めない
クリスマスツリーには飾りは一つもなく
カセットテープはすっかり伸び切っている
時間の概念はない
倫理の概念はない
誰も知らないはずなのに
いつの間にか増えてゆく
詰め込んでいるのは誰だ
男の怒鳴り声
女の顔のあざ
生まれなかった子供
それから――
正誤の概念はない
善悪の概念はない
――あの猫はまだ生きているのか
隙間から真っ黒な霧が漏れ出している
気がついているのだが知らない振りをしている
だが、こんな真っ黒な霧では
誰かが気づいてしまうかもしれない
いつ終る
いつ消える
忘れたことまで思い出させるつもりか
また増えている
詰め込んでいるのは誰だ
鍵を探さなくては
開かずの間の鍵
いや、鍵など掛けていない
出口がないだけ――
ああ、もう手遅れだ
真っ黒な霧が私の顔をしている
エントリ13
憂裸裸フラッシャー ヨケマキル
昔
猫を生き埋めにした事がある
<憂裸裸フラッシャー>ヨケマキル
おびただしく色素の欠損した午後だった気がする
「何 チンコに唾かければいいの?」
名前の知らない女がボクに言った
ここはどこだっけ?
ここは
白昼
薄暗い部屋
外の喧騒と正反対ののろまな空気
「唾なんかそんな出ないよう」
眼底が無気力に濁る
ボクはひどい扱い方をした女に
先日ついに逃げられ
その女を恨んでいたのだ
今度会ったらおそらく殺す事になるだろうな
「この十字架でオナニーして」
「は?」
「この十字架で自分のアソコをいじくるんだよ」
ここはどこだったっけ?
ここは
ストリキニンが食い散らかした神経
天国に階段なんて無い事をボクは知っている
「ねえ」
「何?」
「誰かがいないと死んじゃう?」
「え?よく意味がわかんない」
「誰かがそばにいてくれないと死にたくなる?」
「ああそういう事か そんなの別に平気
考えた事も無いし」
「そう.......」
どこかで何かが腐ったにおい
ああそうか
ここはどこかの国のどこかの町のどこかのホテルだったね
「あ お客さん お帰りですか?」
「いや ちょっと外出 連れは部屋にいるから
そんな事より今は昼かな夜かな?」
「え?」
「なんでもない ここはエレベーターが無いんだね」
「はい あ いってらっしゃい」
階段で降ろすのか 大変だな
昼なのか夜なのか外へ出てもわからない
地下からボクが埋めた猫の鳴き声が
みやあみやあみやあ
なんだまだ生きてたの
お前なんか地下鉄に轢かれて早く死んでしまえ
さて逃げられた女の行方でも捜すかな
時間は腐るほどあるんだ
エントリ14
雨 サイモン・デューン
風がふいている
ガラスの戸を開けると
雨が降り注いでくる
つらいわけではないのに
風が吹いて雨が降っているだけなのに
心細く どこか寂しい
雨が降ってきた
天気予報では晴れだったのに
僕はぬれていった
つらいわけではないのに
風が吹いて雨が降っているだけなのに
心細く どこか寂しい
ひとりでいることが
とても寂しいと感じるようになり
いつも思うことは一つ
君に話しかけたい
雨が降ってきた
こころ細く どこか寂しい
僕が今
雨の降っている外を見上げて
部屋の中の温もりを感じながら
思い出すことは一つだけ
君の温もり
ただそれだけを
思い出している
雨が降っている
心細く どこか寂しい
つらいわけじゃないのに
風が吹いて雨が降っているだけなのに
君がいないだけなのに
心細く どこか寂しい
どこか 寂しい
作者付記:雨が降ると寂しさを感じるのが、青春だと思う
エントリ15
ただこの空の下 ぶるぶる☆どっぐちゃん
名画がずらりとかけられたコンクリートの壁の前に
少女は立っていて
白い肌白い雲
青い空
少女は立っていて
アフリカ大陸はその身をねじるように形を変え
ぐるりぐるりと形を変え
でも喜望峰に立てば君はイルカの大群を見るよ
ばしゃりばしゃりと波間を飛び
何処までも泳いでいくイルカの群れ
(動物園の前に少女は立っていて)
病院の前に少女は立っていて
夥しい量のテレビモニター
映し出される名画
その美しさ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
青空のただその下に
私達は立っている
兄は
少女に靴下をはかせ
わたしは
少女に手袋をはめる
エントリ16
ー 逆さの砂時計 ー パンダ隊長
もう息を吐けば白くなる季節になっており
虚しくもため息は形を成す
決して往復ハガキではない電子メール
木枯らしに飛ばされたのか紙ヒコーキ
会えない時に会いたいとキミに言う
会った時に別れる寂しさをキミに言う
引けずに言ったあの一言
まるで時計の針が一方にしか進めぬ様に
振り向いてくれないのではなく
自分が待ってただけなんだと後ほど気付く
2人の影が手を繋ぐ通学路の標識
キミは誰とゆく 誰とゆく・・・
落ち着いた砂を見つめて
過ぎし時を戻してみたい砂時計
エントリ17
罪と罰 イグチユウイチ
夕立のストライプを くぐって走る。
全てが等しく雨に打たれる 悪くない夕方を
傘さえ無くした俺がひとり ひた走る。
誰もいなくても、必ず神様が見ている。
だから 悪い事をしたら、必ずバチが当たるのだと、
幼い頃から 母はいつもそう言っていた。
神様、今日はこんな罰でいいでしょうか。
あの子を傷つけ続けた ろくでなしの俺は、
いつになったら ちゃんと許してもらえますか。
ねぇ、神様。本当は あんたは寂しげな女神で、
マリーの顔をしてはいませんか。
エントリ18
非常に個人的で愛しいアイダホ(東京に非ず) 佐藤yuupopic
ナルコレプシー。
世の中に突然眠ってしまう病があるなんて
ゆめゆめ思いもよりませんでした、
あなたを知るまで。
何処かで眠りこけて
戻って来られないのではないかなどと
気に病んでおりますが
情報も往き届いた便利な世の中にて
便りのないのは達者な証拠と信じて止みません。
あの晩
「黒い夢に追われて逃げ切れない」
と
すがりついた
あなたの
汗ぐっしょり
強い
痛い
腕。
未だ、
肩に、
赤々と
内出血した
指の跡
残って
消えず。
が、
愛しくて
たまらない
あなたが物心ついた時分より止むことなく慈しんできた非常に個人的で親愛なるアイダホは一体何処へ去ってしまったのだろうと
あれ以降
わたし、
あなたの代わりに
ずっとたずねて歩き通しで
もういい加減疲れ果ててしまって
そろそろこの旅も終わりにしても構いませんか。
そも、
あなたはあの晩以来、何処かへ(「煙草買ってくる」て)出かけた
まま、久しく戻りませんが
(あなたとわたし、移り変わるモノ旧き好きもの出て往くモノ戻ってくるモノ還らざるモノが混濁して訳がわからないなりに愛しい東京に暮らしながら、あなたの眼に映る都市は、わたしの眼に映る都市とどれだけ異なってどれだけ等しかったんだろう。そしてあなたの非常に個人的で親愛なるアイダホとどれだけ異なってどれだけ等しかったんだろう。)
久しく
戻りませんが、
「疑問は解決せねばなりません。」
学校ではそう教わりました。
この際
正否など一切問題ではなく
わたしは確固たる答えを欲している。
解くべきは以下、二点。
一、
あなたがこの二十数年の間止むことなく慈しんできた非常に個人的で
親愛なるアイダホは一体何処へ去ってしまったのか、
二、
あなたの眼に映る都市は、わたしの眼に映る都市とどれだ異なってどれだけ等しかったのか
あなたの非常に個人的で親愛なるアイダホとどれだけ異なってどれだけ等しかったのか、
以上、プラス、何よりも。
三、
いつの間にかわたし達の目の前から
はじめから何もなかったみたく忽然と姿を消してしまった
非常に個人的で愛しいアイダホ。
同様、
消えたあなたは
既にそこに住まって
そして
もう
還って来ないつもりなのか。
アイダホは。
あなたは。
突然眠りに落ちてしまう
あなたは
何処かで
眠っているうちに
たどり着いたのだ、と
信じて止みません。
肩に
にじむ
消えかけた
指跡
に
この
指
合わせ
信じ
かつ、
願って止みません。
心底。
作者付記:『マイ・プライベート・アイダホ』(ガス・ヴァン・サント監督)と、KKに寄せて。
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