第78回詩人バトル結果

おめでとうございます!

ヨケマキルさんの「今は別に欲しくないのだけれど」がチャンピオンに決定です。

エントリ 作品 作者 得票
12 今は別に欲しくないのだけれど ヨケマキル 6
7 ニュークリーチャー 佐藤yuupopic 5
11 7月13日、雨 空人 2
6 後悔 有機機械 1
15 残像 植木 1
該当作品なし 1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



 推薦作品と感想


■今は別に欲しくないのだけれど  ヨケマキルさん
 
感想:静かに、本当に静かにちょっとづつ壊れてる感じ。
いや、本来の立ち位置も微妙にづれてる感じなのかな。

兎に角、自然に、静かに狂気してる感じはとても好きでした。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:「病院の屋上には/無数の包帯が干してあって/白昼にはそれが光り出し/あらゆる笑い声が生まれる」
これにはかなわないなあ。
他作品がなんとなく抜けきれてないなかで、ヨケマキルさんの作品はひとり突き抜けていて、今回はまったく迷いませんでした。

大覚さんの作品は惜しかったように思う。
もっと膨らませられたんじゃないかと。ちょっと唐突すぎるかな、と。
詩のニュアンスとしてはとても良かったです。
投票者:その他のQBOOKS参加作者



感想:「僕に自転車は当たらなかった」って、繰り返し出て来る台詞が好きですね。
国道沿いの海の家に越して来たけれど、ただの憧れと、そこで暮らすのとでは天と地ほどの違いがあると思うから。

それと、唐突に出て来る通り魔事件ですが、日常の中に入り込んで来る狂気というか、今は「日常」と「狂気」が隣り合わせになっているような恐さが現実にあるので、その辺を上手く捉えて書かれているな、と思いました。

あと、主人公の僕と、隣の奥さんと、通り魔と、その被害者の女性との関係が、うまくはぐらかされて何通りにも解釈出来るような余韻を持たせているところが、やっぱり上手いかなあ、と。

あとね、どこかに作者の優しい視点〔視線)みたいなモノが、この作品には残っている(感じられる)のね。
というワケで、今回はヨケマキルさんに1票です。

21CBさんの「デニムスター」も結構良かったんですけど、最後で作者の迷いみたいなモノが、そのまま残されてしまったような気がして。
でも、すごく爽やかな作品で、好感が持てました。

(桜はるらん)
投票者:このバトルへの参加作者



感想:今回は、クロスオーバーという言葉がピッタリの、ヨケマキルさんの作品に一票。

で、その他、気になった作品をいくつか。

「鏡」ソラさん
伝わるかどうか心配して解説文をつけるのなら、
その時間を、伝わる詩にするための推敲の時間にあててください。
それでも分からない奴は読むな!というくらいの強気でいきましょうよ(笑)

「アメリカン・ブレックファースト」大覚アキラさん
一位に選ぶかどうか迷った詩のひとつ。
絵画を鑑賞するように読むと、とても素晴らしい。
でもご本人が「突き詰めれば、好きか嫌いか、それだけの話でしょ?」と
おっしゃているので、そういう意味では、あまり好きではないなぁ…と(笑)

「デニムスター」21CB
個人的に好きなタイプの詩です。リズムがあって読みやすくて、
ぜひ詩集などには入れておきたい。
けれど、16個も作品が集まっているバトルで、
勝ち抜くだけのインパクトがない。
ずらっと詩が並べられることを想定して、作品を選ぶことも大切かも。

「てる」三毛猫ロックさん
純粋におもしろかったです。SSのバトルなら一票入れていました。
ただ、詩として読んだときに、
後に残るものが何もなかった(あくまで僕にとっては)。
今回はこれが一位かな、と予想してみる。当たったら何かください。

「7月13日、雨」空人さん
日記を無理矢理、詩にしたような印象が。
あっ、タイトルからしてそれがコンセプトか。
でも、そのあざとさが見えてしまったのが、個人的にNGでした。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:心地よい語りのリズムと、短編小説のようなまとまりのよさに一票です。内容に意味があるのかないのか分かりませんが、淡々とした語り口も好きです。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:推理小説の『詩版』みたいで、こういうの好きです。
センテンスが短いから、
言葉自体は易しいものを使っているから
読みやすいのに、一度読んだだけでは
わからない。そこに惹きつけられました。

投票者:このバトルへの参加作者


■ニュークリーチャー  佐藤yuupopicさん
 
感想:今回はパッと光るような作品は見当たらなかった。その中で選ぶとしたら、やはり佐藤さんか。長過ぎるのと、「ばあちゃん」と「きみ」の2つのエピソードがなかなかリンクしないのは気になったが、ゆっくりとした語り口の中で寂しさと温かさをじわじわと表現していく技術は、佐藤さん以外には出来ないような気がする。次点は三毛猫ロックさんとヨケマキルさん。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:個人的に今回は佐藤さんが(やや)久々に投稿をするという事を知っていたので楽しみにしていた。期待以上であった。文字通り規定外の作品。ためていたものを一気に吐き出したかのようでそれでいてせつなさもあり、とにかくずっしりきた。次点は空人さんの作品。なんだかいつもと違う空気があっておもしろかった。大覚さんトノモトさんぶるぶるさんの作品も好きだった。
投票者:このバトルへの参加作者



感想: よかった。
 久々で、ユポさん面白かった。
 これは、必要のあるヴォリュームだ。(M)

投票者:その他のQBOOKS参加作者



感想:規定外、というのは承知の上で。
恐らく、タイトルはかなり早い段階でこれに決まっていたんだろうけれど、
全編を通して読んだ時には、ややしっくりこない感があった。
しかし、今回は迷わずこれに一票。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:長いですね。規定外の長さです。
でも、なんでしょうね、この残り方は。
規定外なので票は入れないのがルールですが、
あえて1票を投じます。
なぜなら、この詩にはこの長さが必要だったから、と思うから。

他にはヨケさん、植木さん、大覚さんのがよかった。
投票者:このバトルへの参加作者


■7月13日、雨  空人さん
 
感想:素敵です。
投票者:このバトルへの参加作者



感想:空人さんの「7月13日、雨」と植木さんの「残像」がとても心に残ってどちらも選びたいと悩みましたが今回は「7月13日、雨」を推させて頂きます。

「7月13日、雨」に描かれた感情、人間、どっちかじゃない。どっちかと言い切れない。どっちかを信じ切ることもどっちかを捨てきることも、どっちかにすがることも出来ない。壁を通して漏れ聞こえる隣人の嫌な咳や遠くから聞こえるサイレン。聞きたいと欲するあなたの声すらも雨越しの夜に。何もかもが間接的で、自分の身体なのに自分のものじゃないような気持ちと身体が上手く噛み合わず俯瞰で廻っているカメラ越しに自分を観るような感じ、全てのものに触れる時薄手の手袋をしているようなもどかしさ、上手く云えないけれど、そういうその振り切れない感じがたまらなくて強く惹かれた。

「残像」は解釈の余地が非常に多いので自分の内にあるものと照らし合わせて味わった。私事だが最近、広島はかつての鎮守府が存在した呉の大和ミュージアムにて、人間魚雷「回天」に乗って若い命を捧げた人の遺書や肉声の声明を聴いたりしてきたばかりなのでそのイメージとも重ねたりしつつ読ませて頂いた。音無橋がかかる東京の川の水の流れや残してきた人々を遠く離れた戦地の海上の死の迫りくる密閉された空間で横たわりながら待つ青年の網膜に浮かぶ残像が見えたような気がした。気のせいかも知れないけれど。(佐藤yuupopic)
投票者:このバトルへの参加作者


■後悔  有機機械さん
 
感想:2秒という絶妙な時間帯が突き刺さりました。
静かであり、一瞬でありながらもゆっくりと時間が流れる感覚。切なくもあり、心地よくもありました。
投票者:このバトルへの参加作者


■残像  植木さん
 
感想:どう考えてもこれです。素晴らしい作品でした。
投票者:このバトルへの参加作者


■該当作品なし
 
感想:各詩を読み比べてみましたが、「投票するならコレ!」と決定することができませんでした。
それぞれ惹かれる部分はあるけれど、もう一歩踏み込んで「好き」といえないもどかしさが残りました。
バトル参加者としては「参った」とノックアウトされる様な作品に投票したいという想いがありますので、
今回は「該当作なし」とさせていただきます。(植木)
投票者:このバトルへの参加作者