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第90回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1Purgatory矢凪祐250
2正常葉月みか1576
3パーマネントヴァケイション大覚アキラ414
4縁日に眠るkikki765
5邂逅と解放紫生141
6折鶴トノモトショウ259
7ひとりぽっちの夏休み桜はるらん302
8終戦Tsu-Yo439
9carnival村方祐治332
10七夕石川順一264




 


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エントリ1  Purgatory    矢凪祐


この罪は永遠に消えないだろう
貴方が云ったように
この両腕は腐りかけている

ならば このまま
この場処で果てるまで

痛みはやがて快い刺激となって
全身を駆け巡るだろう

私はもう何処へも行きたく無い

だが 貴方は
あくまでも優しい

その優し過ぎる光で
私を魅了しないでくれ
その白く美しい手で
私に触れないでくれ

嗚呼 最期(おわり)が見える
私の最期(おわり)が

闇のような大烏が
音も立てずに近付いて来る
腹を空かした蛇共が
不快な鳴き声を立てて待っている

私はもう何処へも行か無い

全身の力が抜けて行くようだ
此処は何と居心地のいい処だろう





エントリ2  正常    葉月みか


ゆり 女 東京 さぽ希望@5〜(※学生さんはオマケするよ☆)

---------------------

ひろ(男)さんが入室されました

ひろ こんばんは^^
ゆり こんばんは
ひろ はじめまして。よろしくね。
ゆり よろしくー☆
ひろ ゆりはいくつなの? おれは27だよ
ゆり 25だよ。歳近いねー
ひろ オマケしてもらえないね笑
ゆり もうちょっと若いコの方が良かった?w
ゆり だね。学割適用外ですーw
ひろ いや、ちょうどいいよ
ひろ あのさ
ゆり 良かったー
ゆり なになに??
ひろ @5って、ちょっと高めだよね?
ひろ ゆりの売りは?
ゆり あー。そこ来たか。
ゆり 元キャンギャル&フェラテク、かな
ひろ スリーサイズは?
ゆり 83/59/86
ゆり 顔出しの写メは送ってあげられないけど
ゆり 見た目でガッカリはさせないよ☆
ひろ 了解
ひろ @5だとフツーにできるんだよね?
ひろ 回数制限とかはある?
ゆり うん。できるよ
ゆり やりほでいーよ。@5だしw
ひろ やった!楽しみー
ひろ やっぱゴムはつけた方がいいよね?
ゆり ゴム着用でお願いしますm(_ _)m
ひろ はーい
ひろ 他に条件とかはある?
ゆり まず、撮影はNGデス
ひろ OK
ゆり それと、アナル・スカトロには対応しておりません
ひろ 大丈夫。そーゆー趣味はないから笑
ゆり それ意外のオプションは応相談で
ゆり 意外>以外
ゆり 間違えちったー(/-\)
ひろ 間違えちゃったね笑
ゆり ひろくんは何かリクエストある?
ひろ うーん。。
ひろ ちょっとS気味なので
ゆり ドキドキ
ひろ 手首縛ったりとか目隠ししたりとか、かな
ゆり やーん。えっちーw
ひろ てゆーか、ゆりはMでしょ
ゆり 何でバレてるの!?汗
ひろ わかるよ笑
ひろ じゃ待ち合わせはどうする?
ゆり 109前はどう?
ひろ いいよ。じゃ7時半109前ね
ひろ おれはスーツだけど、ゆりはどんなカッコ?
ゆり 白いワンピにカゴバッグ、赤のミュールで行くよ
ひろ 髪型は?
ゆり 茶髪の巻髪ですー。ちょっと長めかな
ひろ 了解。じゃ仕事に戻るわ
ゆり えーお仕事中なの?? イケナイひろくんだなぁw
ひろ 営業で外回り中だからいいの笑
ひろ あ、5はちゃんと先に払うからね
ゆり ありがと☆ ひろくん優しいね
ゆり じゃあ、後でね
ひろ うん。楽しみにしてるよ!

ひろ(男)さんが退室されました

---------------------

実年齢のあたしより年下の彼は
背は高くないけれど筋肉質で
焼けた肌が印象的な
平均以上の好青年だった
「何かスポーツやってた?」
「ずっと野球。今も会社で草野球やってるよ」
「絶対ショートでしょ」
「すごい。よく分かったね。ちっこいから?」
「すばしっこそうだもん。分かるよー」
笑顔からこぼれる白い歯が
嘘みたいに爽やかで
どうして彼があたしを買ったのか
さっぱり見当がつかなかった
「まじで可愛くてビックリした」
「ありがとー。見た目は合格?」
「フェラも満点だね」
「じゃーもっと頑張っちゃうよ」
「彼女と一緒に住んでるから、痕はつけないでね」
「はーい」
円山町で最初に見つけた黴臭いラブホの
煙草の灰で穴が開いたベッドの上
あたしたちは正常位で
何の変哲もないセックスをした
それでお終いだった
「もういいの? 1回しかしてないから返すよ」
「いいよ。また会ってくれる?」
「それはいいけど……。次は5もいらないからね」
「ゆりはイイコだね」
「ゆりがイイコなんじゃないよ」
「変なヤツも多いから犯罪とかに巻き込まれないようにね」
「ゆりがニュースになったら悲しんでくれる?」
「本当に気をつけなきゃダメだよ」
「わかった」
「今日はありがとう」
肩幅の広い背中を見送りながら
もう会うことはないだろうと思う
免許証、キャッシュカード、クレジットカード
戸籍のあたしを全部追い払った財布に
居心地の悪い5枚の諭吉
明日このお金でタトゥーを入れよう
腰にバーコードがいい
もっとちゃんと
売り物でいられるように





エントリ3  パーマネントヴァケイション    大覚アキラ


コラボレーションしようぜ
っていわれて行ってみたら
ただのセックスだったりとか
有り金全部花火買って
そのまま公園に捨てたり
タバコの銘柄を気まぐれに変えまくってみたり
目が覚めたら夕方の6時だったり
そんな感じの夏休みを
サマーヴァケイションを
永遠につづけたいよ
永遠にさ
パーマネントヴァケイションだ
ねえ
ベイビー
お願いだから
いい感じでおれのこと
手なずけてくれよ
ちょっとなげやりでルーズに
とりあえず
ありったけ全部つめこんで
そしたら手をつないで
ラピュタとか目指そうか
そう
永遠の少年少女みたいな
そんな感じでさ
目なんかキラキラさせたりしてさ
口笛上手いよね
ムーンリヴァー
リヴァー
リヴァー
フェニックス
不死鳥はいつか再び羽ばたく
世界中の蝉が鳴きやんでも
世界中のヒマワリが枯れても
世界中のビールがなくなっちゃっても
世界中の海が干上がっても
世界中のロックフェスがただのイベントになっても
絶対に
絶対に
絶対に終わらない
そんな夏休みがほしい
パーマネントヴァケイションを





エントリ4  縁日に眠る
    kikki



いっぱい 散らかしたビー玉
転がしてはじいて 
赤いのひとつ なくしちゃった
甘い甘いハート形のチョコレートは真白なお皿に安置済み

また 転がして はじいて
青いのが そこに 
ころん
ころころころろろろ
彼はチョコレートと仲良しになった

蚊取り線香
煙 ゆらゆら
けむりむせてむせて
咳 せつなく
ベランダには金色野良猫
夏日にくらり
ぺったり
逃げもしないで
かわいい
眼下 編み目に区切られる廃工場
来年には15階建てのマンションが建つ と
八百屋のおばちゃんが言ってた
本当かな?
そしたら 遠く遠く 丘まで見えるこの景色が
なくなってしまう
そんなの悲しい
背 空の暑さ 浴びると
にゃあん と
金色 
なんだ 起きてたの

そういえば朝焼いたタコさんウインナー 
まだ食べてないや
おなかもすいてきたし食べよう
目玉焼きも焼いて
卵3つ
なんだか冷蔵庫がさみしくなった
あとで何か買いにいこう
なぜか好んで よく食べてたズッキーニ 買って
大好きだったコーラも たくさん買って
そうしたらきっとさみしくならない
玉子焼き 3つ
そういえば 卵と玉子って どう違うのかなあ
ひとつは私の分
ふたつはチョコレートの横に安置 
完了
タコさんウインナー おいしいな
目玉つけるの忘れたけど
ひとつあげる

赤色サンダルで ぱたぱた
踏切の形ってどこかイビツだけど
かん かん かん 
怒りっぽいこの音は 私も好きだった
二百段神社にもよく行ったね
ぜえ ぜえ
だけど上りきると 汗が髪にしみついて
風が さらりさらり 扇いで
まぶしい
8月のはじめの土曜日 
縁日だったあの日に弾けた君へ
君がおもしろ半分で買った あの水ヨーヨー風船セット
どこへ行ったかな
あとでさがしてみるね 
露店でも出そうかな
ねえねえ 子供たちが
駆け足で行くよ
女の子 ピンクの一輪車持ってて
乗ろうとして
よろよろして 転びそうになったりして
スカートがめくれたりしてて
かわいい








エントリ5  邂逅と解放    紫生


水素と酸素がであって
水になった

生命と精神がであって
人となった

アダムとイブとリンゴがであって
罪がうまれ
彼と彼女とあいつがであって
憎しみがうまれた

紙と文字とインクと知識がであって
辞書になり
宗教と科学と権力と貧困がであって
核戦争となった

人は灰滅し元素に還り
うきうきと宇宙に散らばっていった





エントリ6  折鶴    トノモトショウ


その絶頂の夏に
僕の愛しい人が死んで
世界が緩やかに
燃え上がった

細長い煙突から真っ黒な煙が
まるで魂の汚れた部分を
後から天に送り返すかのようで
僕は失望に似た感情を抱いた
ああ、そうか
誰も美しい心など持ち得ぬのだ、と

焼かれた骨々
ほろほろ崩れ
石積みの女の
背に吠え

汚れた魂を纏ったままの
まだ、生きている僕らにとって
暑すぎる空の表面に
彼女の残滓が霞のようになって
見えなくなるまで
追いかけようかと
うそぶいて

幾千もの折鶴の群れが
甲高い鳴き声をあげて
僕は思わず涙を
飲み込んだ
ようで

その絶頂の夏に
僕の愛しい人が死んで
世界が緩やかに
燃え上がった





エントリ7  ひとりぽっちの夏休み    桜はるらん



陽気でお喋りなふたりの夏は
とっくの昔に通り過ぎて
だんまりを決め込んだ
今年の夏はカラっ梅雨

メールは迷子になってるわけじゃない
だんまりを決め込んだあなたは私を
ただ、画面の向うから見つめるだけ

意地悪なあなた
意地悪なあなた
そうじゃないよとあなたは苦笑い
生ビール片手に遠くで手を振るの

悲しみをカラ梅雨に閉じ込めて
ベランダのミニトマトは青いまま
いつまで待っても実らずに
永遠にあなたの元には運ばれない

過ぎてゆく夏の背景は
いつのまにか向日葵
あなたを探し続けて
太陽を仰ぎ見るだけの

悲しみをひまわりの
種に閉じ込めて
ただ、来年も咲きたいと願う

あなたがくれた麦藁帽子
向日葵畑に投げ入れて
今はもう何処にあるのか
ひとりぽっちの夏休み






エントリ8  終戦    Tsu-Yo


戦争が終わって
俺は窓辺にサボテンを飾ってみる

戦争が終わって
俺は愛のあるべき形を知ったのだ

戦争が終わって
俺は誰も彼も愛しまくる




 フィルピンパブで働く女を
 薄汚い飲み屋で口説きまくるオヤジを愛す
 口説かれ慣れたずる賢いフィリピン女も愛す
 両の手を大きく広げて優しく抱きしめてやる
 許せなかったものを許しながら
 許せなかった自分を許してやる
 戦争は終わったからな




戦争が終わって
俺はひとりでファミレスへ行く

戦争が終わって
俺は罪の意味を知った

戦争が終わって
俺は心底許しをこいたいのだ



  
 時々おまえを思い出す
 質屋に売ったおまえのルイヴィトンを思い出す
 俺はあのバッグを買い戻したい
 そのあと風呂屋に行っておまえを買いたい
 俺によく似ていたおまえの体の
 頭から爪の先まで丁寧にていねいに
 それが愛のあるべき形だったのだと
 教えてやりたい
 戦争は終わったからな




戦争が終わって
俺はまだこの国にいる

戦争が終わって
俺はおまえではない女の横で目を覚ます

戦争が終わって
俺の手には俺の指しか残っていない







エントリ9  carnival    村方祐治


熟れていた石榴の実を盛り付けて
卵の焼き具合はまさに半熟であり
鮮度のよい肉はミディアム・レア

完璧なる食卓への準備をする女子たち
―その頬は皆 紅かった―

夏の格好に筋肉質な四肢を露出させ
その隆起のリズムで薪を割り 並べ
幻想的な炎の円陣を切りとっていく

食卓のそば 火に照らされる男子たち
―その頬は皆 紅かった―

会場が整いさえすれば
男たち 女たち
動物的な集合を始める

全ての自然が頷くまで
ごちそうはおあずけだ
(うまそうに湯気をたてている)

リーダーらしき人物が鐘を鳴らす
男と女は生きるために食らうのだ
すると食卓は骨と皮の宝庫になる

男たちと女たちは交わって
そのなかから大腿骨を探し出す

見つけたものはさぞかし嬉しそうに
それを自分から思い切り遠くにほおるのだ

あたったひとは まけである





エントリ10  七夕    石川順一


先週七夕へ行って来ました。夕食を食べずに行ったので途中寿司屋に立ち寄りました。車内のBGMは長渕剛で去年七夕へ行った時と全く一緒でした(アルバムは違いますが)(事実そのままは本当に難しいと思います)到着が早かったらしく盆踊りも始まって居ませんでした。印象的だったのは駅の構内に全然クーラーが効いて居なかった事とテナントの本屋もそうだったと言う事です。だけどさすがに別のテナントは、例えば本屋以外はクーラーが効いて居る様でした。(この詩にポエジーはポエシーはもっと言えばポエズィーはポエスィーはあるのだろうか)一抹の不安はあります。