エントリ1
地図の筆跡 蒼ノ下雷太郎
誰かから盗んだ地図を広げ
誰かは自分の宝物があると目指した
淡い空
オレンジ色は冬の夜に鮮やかに燃える炎のように輝き、そして揺らめき
太陽は陽射しに溶けるアイスクリームのように、地平線へと崩れていく
海は夕焼けを一心に浴びて一面をオレンジ色に塗られていた
被害者であるくせに、それは何だか優しい色合いだった
この海を道にし、今日も誰かは船を漕ぐ
その船さえも、紛い物だと知らずに
誰かが書いた詩編は誰かの言葉で綴られ
誰かが奏でた音楽は誰かの鼓動で打たれ
誰かが流した努力は誰かの才能で壊され
いつだって、人の想いはハイブリッド
純粋なる想いはなく
人は誰かの想いを吸収して自分の想いとする
自身が描いた地図だと思い込み
実は自分の手をにぎる者がいることを、その者は知らない
誰かの夢は誰かの夢
自分の夢は誰かの夢
誰かの夢も自分の夢
個性がないと笑えばいい
個性というものは群れから生まれるものだと知らずに
ただ堕落して生きていけばいい
きっとその地図には、何も記されていない
エントリ2
ちぎれる雲 百
ちぎれる雲
飛んでいく飛行機
青空に流れる
力強い風
美しいな
『不幸でいないと いい詩は書けない』
なんて
ふざけたこと
誰が言った?
笑い飛ばせ
蹴っ飛ばして
風にさらわれてしまえ
ちぎれる雲
飛んでいく飛行機
青空に流れる
力強い風
美しいな
ずっと
不幸でなんて
いられないんだよ
ね
そうでしょ
エントリ3 不完全性定理 RISE
自分が正常だという人間にとって
わたしの思考は理解に苦しむはずだ
なぜならわたしは正常ではないから
わたしの考えがあなたに伝わったとき
きっとそれはあなたも正常ではない証だ
でもなにかおかしいよ
自分は正常だなんて断言する人間
ほんとに正常なのだろうか
エントリ4 僕は口笛 わいさん
暗い 暗いよ
暗ければ 電気を点ければいい
寂しければテレビも点けて 約束の時間まで 待てばいい
あなたが世界で最低のニンゲンかは知らないが
世界で最も不幸なわけではないだろう
こーしてるうちに 何かが消え去って 台無しになってゆく
僕は口笛を吹くのをやめた 夜だから
眩しい 眩しいよ
眩しければ 目を閉じればいい
妄想でも夢でもいいから たまには黙って抱かれるのもいい
きっと ずっと 待っていたんだ 君の声を
鳴らないケータイを壊さなくてよかったと ホントにおもうよ
こーしてるうちに 何かが生まれて すべての罪を許せそうさ
僕は口笛を吹くよ 君の声をのせて
世界中に聴かせてやりたいな やりたいよ
大切なものは いつも受話器の向こう側
僕は 口笛が うまくなるばかり
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