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poem10
葉月みかQ
北風が吹いた日

立ち並ぶ家の
ひとつひとつが
大きなお鍋で
屋根がフタなんだわ
そんなこと考えながら歩いた
下り坂の帰り道

お鍋とフタのすき間から
ふきこぼれてくる匂いを
つまみ食いしては
それぞれの中身を想像して
ゆっくり歩く帰り道

緩やかなカーブ
そこを曲がると
坂の下に街を一望できる

今日は
街をまるごと全部
赤ワインで煮込んだような
家も人も何もかも等しく
深い味をしみ込ませたような
本当にすべてがそんな風であったらと
願わずにいられないような
そんな夕暮れに遭遇できて

頬をすべる風が
ずいぶん冷たくなったことに驚いて
私はまた歩き出す
大きな大きなお鍋の中で
赤ワインに煮込まれながら



今日は君の好きな
ビーフシチューにしよう








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