お鍋とフタのすき間から ふきこぼれてくる匂いを つまみ食いしては それぞれの中身を想像して ゆっくり歩く帰り道
緩やかなカーブ そこを曲がると 坂の下に街を一望できる
今日は 街をまるごと全部 赤ワインで煮込んだような 家も人も何もかも等しく 深い味をしみ込ませたような 本当にすべてがそんな風であったらと 願わずにいられないような そんな夕暮れに遭遇できて
頬をすべる風が ずいぶん冷たくなったことに驚いて 私はまた歩き出す 大きな大きなお鍋の中で 赤ワインに煮込まれながら
今日は君の好きな ビーフシチューにしよう