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poem36
空人
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/6650/ 白夜のカフェ。
軋みだす

深夜の国道 車内で
弁当を食べる
タクシーの運転手を見る

塀のない家 縁側で
車椅子に座った
老婆の眼を見る

高架の下 コンクリートに
寝そべる浮浪者の汚れた足裏を見る

混雑する書店 ヒステリックに
子供を叱る母親と
雑誌を読みふける父親を見る

 捨てられたテレビ 無表情のアナウンサー
 うつむいて歩く人 かすむ青空

小さな路地 片方が裸足の
泣きながら歩く小学生を見る

片側2車線の道路 それが
何だかわからないほど
つぶれた動物の死体を見る

ビジネス街 何かを叫び
髪を振り乱し
追われるように走る男を見る

 カラスの大群 黒いヘドロ 味のない水 かすむ記憶



いつ頃からだろう 明日のことを 心配しだしたのは
いつ頃からだろう 昨日のことを 懐かしむようになったのは
いつ頃からだろう 他人のことを うらやましく思うようになったのは
いつ頃からだろう 自分のことを 不幸だと思うようになったのは
いつ頃からだろう 嫌なものばかり 目に留まるようになったのは

 みんなで遊んだ「だるまさんが転んだ」
 目を見開いて振り返ったら
 見えたのは僕の影だけだった

あなたの奥さんになってお弁当を作ってあげたい
あなたの排泄を手伝ってあげたい
あなたの着るものを持ってきてあげる
きみの遊び相手をしてあげるよ
ちゃんとお墓を作って線香をあげよう
きみのつらいことだって何でもきいてあげるよ

だれか僕を必要だと言ってよ
お願いだから必要だって言ってよ

そうじゃないと僕は体が軋んで潰れてしまうよ

 みんなで遊んだ「だるまさんが転んだ」
 目を見開いて振り返っても
 目を見開いて振り返っても
 何回振り返っても
 見えたのは目を瞑っているときと同じ闇だった








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