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第11回詩人バトル Entry22

ウイルスの夜




 隣りでは君の咳が止まらずに
 ウイルスが部屋中に降り積もって
 負けじと僕も僕のウイルスを飛ばしながら
 お互いのウイルスは僕らと同じように仲良くしてるのかなんて
 そんなこと
 どうでもいいよね
 お互いダウンしちゃって
 二人仲良く手をつないで
 ベッドの中で
 青息吐息

 二人とも重症でね
 高熱にやられちゃって
 「おやすみなさい」なんて言ったら
 別の意味に受け取られそうな
 そんな切羽詰った状況なのに
 でもそういうのがなんか嬉しかったり
 でもそういうのがすごく幸せだったり
 ヘンだよね
 いや、ヘンじゃないか

 部屋の中にはウイルスだけじゃなく
 見えないくせに
 きちんと名前のつけられた
 不安とか
 ためらいとか
 たとえばそんなものも一緒に
 たとえばいつまで幸せでいられるのか
 たとえばこのまま二人でやっていけるのか
 あるいは
 たとえば
 もしかしたら

 夜だからあたりまえなんだけど真っ暗でね
 お互いの顔も見えずに
 話す気力もなくて
 手の温もりだけを感じながら
 (温もりだなんておしとやかな熱さじゃないけど)
 いろんなものが降り積もって
 知らないあいだに降り積もって
 それでも二人は
 ゆっくりと
 朝を待ってるんだろうね
 時計の音なんか
 聞いてるんだろうね  

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