QBOOKSトップ

第113回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1発泡スチロールの中の小豆苗石川順一534
2風に切られてkeketetepepepapa68
3ゆうぐれゆららkikki461




 


 ■バトル結果発表
 ※投票受付は終了しました。



詩人バトル読書会
詩人バトルの感想・批評用掲示板。投票の参考にもどうぞ。
※QBOOKSのコンテンツではありません。



掲載ミス、送信時の文字化けなどございましたらご連絡ください。
その他のバトル開始後の訂正・修正は受け付けません。
あなたが選ぶチャンピオン。お気に入りの1作品に感想票をプレゼントしましょう。

それぞれの作品の最後にある「感想箱へ」ボタンを押すと、
その作品への投票ページに進みます (Java-script機能使用) 。
ブラウザの種類や設定によっては、ボタンがお使いになれません。
その場合はこちらから投票ください
感想箱




エントリ1  発泡スチロールの中の小豆苗    石川順一


自転車で小豆の苗を運ぶ
自転車が休耕田の田圃に着く
発泡スチロールに入れられた
小豆の苗は各々ポーズをとり
シャッターチャンスを待ち構える
フォトグラファーはさのやまさんです
撮ってくれろとお願いします
せっかく遠くへ来たのだから
撮ってくれろと傾きます

発泡スチロールの中の苗用ポットは
自らの重みで左へ発泡スチロールを傾かせ
自転車のハンドルを左へ傾かせ
自らそのまま落下する

こんなことなら車上狙いの方が良かったわ
土をプランターに入れて運んだ昨日とは
似て居る様だけれど少し違います
重さは同じようだけれどだいぶ違います
今日のは入れられた各々の苗用ポットが
多すぎて喧嘩を始めましたと言ったら
嘘になるかしら

同じ様に直方体で中が刳りぬかれ
物が入れられる様になって居る
プランターと発泡スチロール
ですが
いちように敷き詰められた土と
同じ小豆の苗ですが
各々てんで成長状態の違う苗達が各々のポットに入った状態とでは
入って居る物の性質が違います
そこを間違えてはたまらない

私は今夜分木師に電話するでしょう
苦肉の策ですがぶんぼく師に電話して
貝の味噌汁を食べながら
性質を間違えてはたまらないから
カロリー控えめで
子供も控えめにかんむりを脱いで
エッグプラントを食べながら
ぼーっとして居ても
でくのぼうにだけはなりたくない


作者付記:やはり詩作は下手でもいいから毎日やらないと上達しない様な気がします。





エントリ2  風に切られて    keketetepepepapa


 二人、風の中に立つ

 強い、風の中に立つ

 おお

 唸り声を聴いて、

 切られて

 切られて

 私は、ばらばらになった。

 風は消えゆく、儚い濃夢。





エントリ3  ゆうぐれゆらら    kikki


夕やみ歩く猫
のし
のし
人ごみと並んで歩いては
立ち止まり
都会が鼻歌まじりに風を歌うのを じっ と聞いている
夏はまだ長い
今日もずいぶんと蒸していて
建物からこぼれる冷気とごちゃまぜになっていて
あの時のように
ああ
またこの季節が来たのかと気づくもう何もかも遅いのだけれど


ゆうぐれゆらら
明かりがあめ玉のように 
ちらばって 
広がって
また
ドーナツ店の店長の気が狂い
居酒屋の客引きおばさんが交差点を占拠する時間がやってくる


彼は
微熱コンクリートに寝そべっては薄目をひらき
「海が見たいかい?」
魔法猫の真似をしては そっぽ向いて
あくびをしては伸びをして
舌を出してはのんきな顔をして
でも時々ちいさく鳴く
だれにも聞こえないように ちいさく
ちいさく
ボクが色白の友達をなくしたことはこの界隈の住人はみんな知っているけれど
彼が灰色の友達をなくしたことはだれも知らない
たとえ知っていてもだれも興味はないし
悲しむ人もいないけれど
見知らぬ人が行き交うこの町が彼のふるさとで
やがて死ぬのもこの町で
君はボクに気づいたのだから
だから
そばにいてくれたらと思う
夜の間だけでも