第12回詩人バトル Entry28
祖母が死んで
父は無言になった
父はまるで
母が死んでしまったかのような顔を
している
今までにない顔を
している
そうだ
父は
祖母の息子
だったのだ
祖母は
父の母親
だったのだ
だから父は
まるで母が死んでしまったかのような顔を
しているのだ
通夜の夜
私と父は祭壇の前にすわり
黙々と飯を食べる
ばくばくと飯を食べる
おひつが底をつくころ
線香の火が燃え尽きるころ
無言の父にも
朝が訪れるだろう
祖母にとっては
決して出会うことのない朝が
私にもやってくるだろう
夜はふけていく
父の内部に眠る絶対温度の言葉たちが
溶解し
目覚め
流れ出すまで
夜は。