第12回詩人バトル Entry58
今日は風が強いな。
向こうでバランスを崩した彼女の腕が、羽みたいに見えた。
鼻で笑って、ため息をひとつ。
やっぱり駄目なのかな、なんて思ってみる。
そう思いつつも首筋を風に吹かれて、
マフラーを忘れた事を後悔。
比べなきゃいいのにさ。
比べちまうんだ。
まったく。
傷心気味な事に、彼女は気付いただろうか。
遠くを指差して、何か言っている。
しかし、風で聞こえず。
わかってる。
また期待してるのさ。
虚しさだって感じてる。
今なら、少し泣いても気付かれないかな。
ああ、忘れてしまおう。
今はそれができそうだから。
久しぶりの屋上からは、
分厚い雲と、遠くの青空と、つまらない風景。
そんなものいいからさ、
もっと構えよ。俺の事。
すべてが見渡せるここから、何を望む?
とりあえず今は、
そのマフラーをよこせ。