エントリ1
木星の花 金河南
雨は虹の方角へ行った
心が花であるなら
茎は
あるいは折れた肋骨と
木製の詩人は言った
ええ、
ええそうです。
枯れた午睡こそが花弁です、
虹は
吐きながら木星の方角に、仕方なく
あなたを北にして……。
詩人を含む兵隊たちは緑服のまま
気をつけの姿勢にし
首から上を
虹色に塗った
木製の雨は 方角ものまず
座ったままの肋骨に
カラハラと落ちて眠る
エントリ2
口内炎 石川順一
私の口内炎は
祈祷師の除霊を受けても治らない
自ら護摩壇を設(しつら)え護摩を焚く
顔が煤(すす)だらけとなり
黒く未開の民族じみて来た所で
私の口内炎のデータが全て消去された
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