第12回詩人バトル Entry18
手招きすると春が
近付いて来る気がする頃
蘇るのは昔 捕らえたものたち
ばった かまきり 緑の色した
それから柔らかな毛を持った
こうもりや ねずみ
動くものを見ると
潰したくなる頃があった
屈託のない手足を
奪いたくなる頃があった
ばったのね 後脚を こう持って
逃げようとするから
――するから
此処へ この指のあいだへ
足だけ残して ぽとり と落ちる
例えばそんなものが
嬉しく思える頃があった
今恐ろしいくらいに
平然と出来る頃があった
とんぼ くわがた 皆が好きな
それから触れると暖かかった
のらねこや ひよこ
どれだけ痛かっただろう
どれだけ無為なことかと
先の丸い鉛筆でも
刺さればとても 痛いのに
先の丸い鉛筆を見詰めて
今年私は受験生で
薬指の内側に 黒鉛の跡がひとつ
溜め息吐けば春が
掬ってくれる気がする頃
蘇るのは昔の その鮮やかな 痛み
彼等の湧くように生まれる春が 近い