エントリ1
断片 石川順一
私の左の耳に何時からだろう
鹿が一頭入って居て時折暴れる
月が口を開ける瞬間に
夕べの祈りを思い出す
朝が近付く子供が殺到する
クック船長がまとめて航海に連れ出す
イメージが切り張りされて出来た張りぼて
を、今ここに鮮明に思い出す
先週の千里を走る馬よ
エントリ2
心ノート はなもとあお
夢はまだ
手の届く
ところに
あるでしょうか
わたしのそばに
そして
あなたのそばに
エントリ3
3時の疑問 Tsu-Yo
苺は毒があって然るべき
姿形をしている
どんな顔をして
パティシエはそれを
ショートケーキにのせたのか
幸福のなかで死ぬ
誰かの最期を思い浮かべて
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