第16回詩人バトル Entry13
祖父は逝ってしまった
まるで突然の出来事だった
訃報を知らせる電話とともに
つとめて冷静だった祖母
悲しみに崩れ落ちた母
それを支える父
幼子は火がついたように泣き出して
僕はただ呆然となった
突然だったので
あまりにも突然だったので
明日の誕生日プレゼント
母の用意した白いワイシャツ
かわいそうに残ってしまったね
運ばれてきた祖父はすっかり冷たくなって
それでも安らかなようだった
「眠っているみたい」なんて
小説の専売特許だと思っていたけど
嘘じゃなかったんだ
今にもいびきをたてはじめそうな
いびきのうるさかった祖父
眠れなくて苦笑した夜
家に帰ってきて
悲しみがこみ上げてきた
祖父と過ごしたいくつかの思い出と
形見になってしまった茶色の帽子
すっかり痩せて小さくなった祖父
祖母に頭の上がらない
ちょっと太りぎみだった祖父
二人して商売に一生懸命だった
家族のことを思わぬ日はなかっただろう
どうか安らかに、そして
いつまでも見守っていてください、おじいちゃん
嬉しいことよりも
悲しいことのほうが多いかもしれないけれど
僕らは生きてゆくだろうから
きっと生きてゆくだろうから