第17回詩人バトル Entry28
月があったか
それとも雨だったか
誰も記憶しちゃいない
静かだった
それだけは
間違いないはず
灯火管制
隣組の
茜さんは
ひとりきりだというのに
ラヂヲは
しゃがりざじゃりと
雑音しか撒かず
ちりちりと
夜は更けている
隣組の
茜さんは
まだ若く
空襲警報
ひっくりかえった
道は人が走り
あなぼこに駆けこむ
私はといえば
そんなことは
どうでもよく
なにやら騒がしい
空の音にも
我は感せず
隣組の
茜さんは
影絵のまま
佇んでいることを
ひそやかに
じいいと確認しているのだ
めらめらと
降る紅い光が
隣組の
茜さんを照らし出し
美しく映える
もう
ほかの誰もが
あなぼこで
息を潜めて
わたしたちをしらない
だから
いまだ
革命だ
隣組の
茜さんへ
突進だ
庭を駆ける
何やら灼けるように熱い
そうだ、焦げ臭いほどに
心がめらめらと燃えているのだ
隣組の
茜さん
あと10歩で
ああ、
あかねさん
あと襖1枚で
ああ、
ああああかねえええさああああんんんんんんんんん
あともう一尺で
あと、もう、一寸で
どかんと。