第17回詩人バトル Entry52
「帰りたいの」
君はそう言って泣いた
「もう少しで何とかなるから」
僕はそう言ってなだめた
君を追いかけていたらこんな所にまで来てしまった
西日が強く輝いていて
街の全てを赤く染めていた
手を伸ばしても空は
他人事のように、遠く眩しい
ああ、やはりそうなのだあと思う
遠くのあの青い空は、まるで赤いスーパーカーみたいだ
「帰りたい」と泣く君が
帰る場所は何処にも無いのだ
だから
だから僕は、君をケーキ屋にでも連れていこうと思う
甘い物を食べれば、きっと一時間くらいは泣き止めるものだし
その後の事は何も解らないけれど街は無意味に広く色々あるし
何なら僕が一つ歌を歌ってあげても良い
きっとどうにかなるはずだ
君の手が、ふと僕に触れた
こんなにも冷たい風の中で、君は悲しいくらい暖かかった
生きていた
生きていた生きていた生きていた
生きていた
僕は君を抱きしめた
君はきょとんと首を傾げた
地面はすぐそこだった
「それがどうした」
僕はそう呟き
遠ざかる空に背を向けた