エントリ1
みやちゃん 植木
幸せと不幸せの数は同じだと
云う人がいるけれど
自分の置かれている立場は
その時はよく分からなくて
あとになって思い出してみると
笑い話になっていたりもする
鎌倉発の江ノ電は
師走と云っても
平日の午前中だけあって
乗客もまばら
目の前には
赤ん坊を抱いて
五才くらいの女の子を連れた
お母さんが座っていた
和田塚を過ぎたあたりで女の子が
「ママ、おなかがいたいの」
とぐずりはじめた
お母さんは慣れたもので
「みやちゃんの、いたいのいたいの
とんでけー、とんでけー」と
手かざしでサラリとかわす
長谷に着くと
外国人の団体さんが乗ってきた
江ノ電は車両が小さいから
ドアをくぐるように乗車する
と、その中の一人が頭をぶつけて
「アウッチ」と呟いて苦笑い
車両の一隅に小さな笑いの輪ができた
ぼくは英語が不得手だから
「ミスターそれは、みやちゃんの
いたいのいたいのだったのですよ」と
教えてあげることができぬまま
稲村ケ崎で下車した
ガタゴトと走り去る江ノ電を
踏切越しに見送りながら
ぼくは今年、幸せだったかな
それとも不幸せであったろうかと
思わず頭をさすってみた
エントリ2
句会と空海 石川順一
新撰組の句会では
お菓子が御法度である
「牛乳と卵のシュークリーム」は和を乱す
「ダースミルクチョコレート」は黒い
「チーズフォンデュフランス」は鼠が食べて居れば宜しい
「コーンフレークフロスト」は犬が食べるシリアルでは無いか?
新撰組の句会では実名もご法度で
「枝毛ねえさん」とか「OOOO]とか・・・
僧の空海は満濃池に佇む
多力を得て築き上げられた
作品を前に
多衆の力に感じ入り
眼が潤む
眼が潤って行く
空海が歩を踏み出すと
砂漠の砂が風に舞う
砂漠の改良に
心を砕く空海の風貌
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