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第18回詩人バトル Entry36

呪いの明太子


のろいの明太子      2002。7/25


私の部屋に、あいつ宛の中元が届く。

明太子だった。

一緒にいたときは、おにぎりの具にした。

油っぽい朝鮮海苔をふんだんに巻いて食べたっけ。

あっ、ちょっと泣けちゃった。

箱を、乱暴に開けて、少しだけ食べてみる。

粘膜がヒリヒリする。

私、思いの外、痛んでいる。

こんな立派な明太子捨てるのも惜しい。

それで明太子を届ける事にした。

朝、管理人がいない時間、五時半にドアーの前に立つ。

相変わらず、鍵がかかっていない。

まっとうに置いていくのも癪だ。

大きな明太子だ。

高かったんだろう。

内側と外側のノブ。

ノブの内側に明太子を絡ました。

いいぐわいにからみつく。

昆布なんかが入っているから、粘りけがあるんだ。

外のノブにも絡ます。

赤い汁を垂らした明太子、銀色のノブ。

わぁ〜すごく、隠微。

男から電話がかかってきた。

「お前だな、馬鹿なことして、何が面白いんだ。」

「なんなら、ご自宅のノブにもトッピングしときましょうか?」

と言ったら、電話は即座に切られた。

この文章を読んでしまった方は、明太子ののろいがかかってしまいました。

たいした害はありません。

明太子を見ると、ドアノブに赤い明太子がまつわりついているホラーもどき

絵が、一瞬網膜にに浮かび、明太子が金属臭をかすかに帯びます。

たいがいの人は、平気で食べられます。

ご安心下さい。

のろいの明太子本舗からのご注意です。

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