エントリ1
髭のゆくえ サヌキマオ
風呂場で安全剃刀を使っていて
排水口に流れていく髭のゆくえに思いを馳せている
下水の果て
東京中の
関東中の男の(いや、)
髭という髭が流れた末に収束される
髭とともにはつられたあごの皮膚とともに
もりもりと
老廃物の壁を造る
退廃仏の襞を作る
髭人の誕生である
髭人は何をするでもなく
迷宮の奥底で
自分の身体が蓄積され続けることに喜びを見出すのだ、と
ここまでが
ここまでが想像力の限界
刃に詰まったあごの皮膚をシャワーの水流ではじき出し
108円で四枚入りの剃刀を
女々しく使うおれである
エントリ2
ジェームズ 石川順一
ふと空を仰げば
祖父が星となって
空に居るのかもしれないと思うと
ジェームズは思う
眼鏡を洗浄して
レバーを食べる
赤穂浪士が
ジェームズにはしっかりと見える
空はおそらく
ジェームズの意識を反映して
アクションペインティングの様な
形をしている
星はむしろ祖父に包まれて
喘ぎ声を出しながら
赤穂浪士を吐き出しているような気がすると
ジェームズは思った
エントリ3
水無月小景 植木
ポケットに両手を入れ
いわゆる
棒になろうとしている
少年達の
今まさに隆起する陰茎
全休符で
虚偽を告げる美しい声
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