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第19回詩人バトル Entry6

涙…

 ぽろぽろと、流れる涙はとめどなく…

 小さな、本当に小さな男の子が泣いています。
 その男の子はまだ3歳で、その背たけはまだアナタの膝までしかなくて。

 モミジと重なるほど小さな手を「ぎゅっ」と握って泣いています。
 小さな身体をもっと小さくして泣いています。

 どうしたの?

 足をとめたアナタの言葉。
 けれどその子は答えません。

 大丈夫?

 前にかがんだアナタの心配。
 けれどその子は泣いています。

 悲しくて、哀しくて泣いています。

 お母さんは?

 そうっとアナタは問いかけます。
 チラチラと、道行く人の、目を気にしながら。

 ママ…

 小さな男の子の、もっと小さな、言葉。
 その声は切なくて、その言葉は哀しくて。

 わかりませんか?
 アナタには、わかりませんか?

 男の子が泣いています。
 アナタの前で、泣いています。

 灰色の、街を木枯らしが吹きぬける季節の中。
 真っ黒な雲が降らす、雪の匂いに鼻が痛い今日の中。

 男の子が、泣いています。


 ぽろぽろと、亡くした母の、遺影を胸に…

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