第2回詩人バトル
poem14
「別れよっか」 そう云いだしたのは私だったのに。 私が引っ越してからだった。 彼との中がうまくいかないようになっていったのは。 毎週家に帰って彼と会ったりもした。でも、その距離は結局埋まらなかったみたいだ。 誰だろう、いくら距離が広がっても会えなくても心の距離は広がらないなんて云いだしたのは。 そんなものはただの理想でしかなかった。私たちの間では。 近くにいた頃はよく喧嘩もしたけれどすぐに仲直りできた。 すれ違っても、いつかきっと分かり合えるようになるって思ってた。 でも、きっと私と彼の関係は漸近線と同じだったのだ。 だんだん本当に何処までも近くはなるけれど決して重なることの無い線。 「別れよっか」 そう云ったのは私だったのに、彼に新しい彼女が出来たと聞いたとき涙が出た。 多分この涙は自分のものを取られたことに対する子供っぽい独占欲、そう思いこんだ。 私の中に残る彼への感情は、そんなものではないはずだから。 そんなものではあってはならないのだから。 「別れよっか」 そう云ったのは私なのに。 掴んでいたその手を、手放したのは私だったのに。 私は、彼のことを多分きっとまだ気にしてる。 「別れよっか」 そう云ったことを、後悔してるかと云えばそれは決してそうでは無いと言い切れるのだけれど。
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