エントリ1
甲斐性 日向さち
半袖から覗く二の腕や、横を向いた時の首筋に
吸い込まれるように顔をくっ付けたくなることがある
低く囁く声や、絡めてくる指よりは
あなたに意識してほしくなくて
そのことは言わないけれど
結婚しても、しなくても
ずっと一緒にいられることの方が大事だと思う
その私の台詞に、甲斐性無しでごめん、なんて俯いて
でも私と目が合うと表情を緩めるものだから
抱きしめずにはいられなくなる
甲斐性ってね、経済力だけじゃなくて
精神的な意味もあるんだよ
その手が紡ぐ世界が私の心の支えだし
いつも頑張ってるんだし、甲斐性はあるよ
やさしいね、って髪を撫でてもらい
ほんとのことだって、と笑って
笑い返すあなたの前で
ここにいるのが私じゃなかったら
違うあなたがいるんだろうな、なんて思った
私の好きなバンドの曲を日常的に聴くことはないだろうし
大好物の唐揚げを頻繁に食べていそうだし
甲斐性無しなんて言わなくて済むかもしれない
一緒に日向ぼっことかするような
おじいちゃんおばあちゃんになりたい
そうだね、って予想通りの相槌がくるんだけど
欲しいのは、ずっと一緒にいよう、みたいな言葉なのに
そんなことは言えないまま
あなたの首筋に顔を埋めて、肩を抱いてもらう
|