エントリ1
幸せのかたち 日向さち
俳優と呼ばれることも増えてはきたものの
まだまだ女優と呼ばれることが多い
仕事を貰うためなら何でもする生き物だと
思っている人もいるだろう
でも、私は
自分の本質を傷つけたくないから
それでも貰える仕事だけでいい
稼げなくたって構わない
役を演じることは自分らしさを知ることだ
自分らしく生きようとしているだけで
男のくせにと揶揄われてきたけど
君らしく生きる君に
似合ってるね、と言ってもらえたから
僕は僕らしくいようと思う
みんなが違う性格で
違う能力で
違う価値観で
真の平等とは一体どんなものなのか
やりたいことがないのがコンプレックスだった
でも、社会の歯車として生きるのは意外と悪くない
必要とされている実感があるから
おおきくなったら
みんなをまもるヒーローになりたい
ゴミをポイ捨てする人が嫌いだ
そういうゴミが
動物たちを死に至らしめていて
ひいては我々の子供たちの未来にも影響してしまう
生きていくのが精一杯の人たちのことを思うと
私は幸せなのだと認識する
これって優越感なのだろうか
推しに課金するのは
結局のところ自分の快楽のためでしかない
出来ることなら一生推し続けたい
それは依存だと承知の上で
後輩にポジションを奪われたのは
ただのきっかけに過ぎなくて
他にやりたいことが出来たから、別の道を選んだ
申し訳ない気持ちもあったが
今、当時の仲間が活躍しているのを見て
間違っていなかったと確信している
私の通っていた小学校が避難場所になって
友達と励まし合いながら、家族が来るのを待った
お母さんとは会えたけれど
お父さんはいつまで待っても来なくて
後から、土砂崩れで生き埋めになったと聞いた
優しくて、逞しくて、青年団の団長だった
そんなお父さんが大好きだったのに
数年が経って、私は
お父さんのことを忘れながら生きている
毎朝、妻が食事を用意してくれて
私は豆を挽いてコーヒーを淹れるのが日課だ
この生活も、もしかしたら急に終わりが来るかもしれない
いつものように眠って
朝になって家族が気付いた時には冷たくなっていた
そんな最期を迎えて
昨日まで元気そうだったのにと言われるのが本望だ
誰にも決めつけられたくない
誰にも理解されなくたっていいし
平凡かどうかも関係ない
自分の感性のみで判断していく
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