第41回詩人バトル結果

おめでとうございます!

今月のチャンピオン作品は、イグチユウイチさん「ジェリーフィッシュの夜」と決まりました。
イグチユウイチさんは3回目の優勝でグランドチャンピオンです。
おめでとうございます!

エントリ作品作者得票
17ジェリーフィッシュの夜イグチユウイチ4
12死ぬんでしょヨケマキル3
1ホールディング鯨井弘子2
14捨てユルスタイル歌羽深空2
15ランダムに塗られた油絵の具紫色24号2
25龍潭寺にて空人2
2夏目漱石的 狂夢想詩ゆふな さき1
6「いつか」なんて信じないけど柳 戒人1
8平成の日本刀箱根山険太郎1
11嘆きの経蒼樹空1
16京橋にて大覚アキラ1
19猫ばあさん村上かおる1
23平成アリス児島柚樹1
24太陽がいっぱいぶるぶる☆どっぐちゃん1
27アナザー、ニュータウン佐藤yuupopic1
29夏の私詠理1
なしなし1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

ジェリーフィッシュの夜  イグチユウイチさん
 
感想:まずタイトルに惹かれました。この季節に、「ジェリーフィッシュ」という言葉がなんだか涼しげでイイ感じ。ちょっとなさけなくもある男の心の色が上手くその言葉に反映されていると感じました。作品全体の柔らかい空気感も良いな、と思いました。
票者:このバトルへの参加作者



感想:最近のイグチさんの作品は、迫りくる勢いがある。
今回の微熱な感じも、すごくよかったです。

私はカッコイイ詩はかけないけど(笑)
これから先、すごく楽しみにしています。

票者:このバトルへの参加作者



感想: 読み始めから、クラゲの漂う夏の夜の渋谷の映像と温度が鮮やかに連想される。特に不快指数の高そうな夜の空気と、悶々とする気持ちとがかちっとシンクロしていていい。身に迫る「はっきりしない感」がある。拙作の前にこの詩が来てしまって、困った(笑)

次点
「いちご」森嶋みきさん
 最後の一行が好き。草木を成長させる雨、一方で何も成長しない自分に降り注ぐ冷たい雨(の音)。この雨の音の生む焦燥感に共感を覚えた。

「死ぬんでしょ」ヨケマキルさん
 この方言は特定の地域のものではないようだが、方言の持つ残酷さのようなものが詩の題材にあっている、嫌になるくらい(←褒め言葉)。読んで幸せになる詩ではないし、読んで自分の生活を反省するような詩でもないと思うが、存在を覚えておきたい詩。自嘲が、ズキズキ痛い。

他に気になった作品
「誕生と引き換えに失ったもの」香月朔夜さん
「捨てユルスタイル」歌羽深空さん
「京橋にて」大覚アキラさん
「アナザー、ニュータウン」佐藤yuupopicさん

 今回、好きな作品が多くて楽しめました。(相川拓也)
票者:このバトルへの参加作者



感想:なんかね、迫り来るものがある。
静かなんだけど、圧倒的。
そして、冴えている。

票者:このバトルへの参加作者


死ぬんでしょ  ヨケマキルさん
 
感想:価値観の僅かな違いで、
差別だのイジメだのといったくだらないいさかいが起きていることを、
子供の頃から何となく感じていた。
40才を目前にした最近、
中東で起きているゴタゴタもその延長線上にあると改めて感じた。
人間もこの小さな星の表面にうごめいている微細な生き物にすぎず、
天変地異その他、何かあれば蟻のごとく潰れて死んでしまうのだ。
争いごとのそんなバカバカしさを代弁してくれたようで、
少しスッキリさせてくれた作品でした。
票者:このバトルへの参加作者



感想:方言で来られるとドキッとする。
死ぬんでしょ。
タイトルの標準語に若干の冷たさも感じます。ハイ。
票者:このバトルへの参加作者



感想:死ぬんです。
ある日何事もなかったように。
そこから目を切らずにいられる人のなんと少ないことか。

票者:このバトルへの参加作者



ホールディング  鯨井弘子さん
 
感想:優しく諭しているようで、祈るような訴えが強く託されているところに惹かれました。
票者:このバトルへの参加作者



感想:優しさと力強さがあって、力が湧いてくる感じが良いと思いました。
票者:このバトルへの参加作者



捨てユルスタイル  歌羽深空さん
 
感想: 何って、良くも悪くも好きなんだからしょうがないのであります。これだけ自信を持って語感で勝負できるんだから、そりゃ、メロメロですわね。
 次点は詠理、相川君、どっくちゃんの三名で。(M)
票者:その他の作者



感想:クールな内容もよかったですが、変化する言葉の質とテンポが心地よかったです。

票者:このバトルへの参加作者



ランダムに塗られた油絵の具  紫色24号さん
 
感想:久々に心にギザギザした感触が残りました。言葉選びが絶妙でした。
票者:このバトルへの参加作者



感想:今月は、なんとなく好きなこの作品に一票。
作品から伝わる「濃さ」が良い。
票者:このバトルへの参加作者



龍潭寺にて  空人さん
 
感想:ご本人は不本意やも知れませんが、本作を推します。鏡のように輝き、ありとあらゆるものを映し出す水面みたいな作品。降り注ぐ木漏れ日が露出オーバー気味、静かな分、わずかに生き物や風が起こす物音が、庭園中を、揺らす。ワタクシは本作の、カメラが次第に次第に次第に対象物に寄って寄って寄って往くのに、速度感が一向に変化することなく、ただただただただ寄って往って、事実を切り取るだけ(に見える)に終始しようとする、視点が素晴らしく好きです。ジリジリジリジリと亀が歩む速度のように。甲羅が乾いている亀と濡れている亀と新たにやってきた亀。ああ、すごい。「ここで、押そう」「画面引いておこう」「アイキャッチ、埋め込もう」なんて戦略も策略もなく、いやあったとしてもそれを超えて、音のない、一瞬で永遠の、龍潭寺の緑濃い影を落とす庭、それだけを描く。カメラがどんどん寄って往って、いつしか亀やそうでないモノの細胞レベルくらいにまでズームアップして往って、内部に入り込み、いずれ循環して、また外のあらゆる世界につながって往く。『ワタクシね、あの詩の龍潭寺にね、たしかに居ました。空人さんは気づいてなかったぁw)笋眞里譴覆い韻鼻⊇餘…蹐量个澆留討任劼辰修蠅筏気量瓦鮓・討い襦・訖加罎離錺織・靴睇舛い討い燭鵑任垢茵・戮修鵑覆佞Δ法・・蹐Δ箸覆鵑道廚錣覆ご屬法△垢辰・蟠・い房茲蟾・泙譴泙靴拭・海了蹇・膵イC任后I舛い堂爾気辰討△蠅・箸Α・・w)w)次点はエントリ29「夏の私」詠理さん
この方の作品は読み手にものすごく忍耐力を強いると思う。ワタクシは通常、読み手を意識しない(ように見受けられる)作品を好まないのだけど、この方の作品は何だか自分でも不思議なのだけど、別。たぶん、この方の発っするビジョンと佐藤内のイメージ受信装置の波長が合うのだろうと思う。そこに全く読み手が居ないかのように、はじめから自分とその内部しかこの世の中に存在しないかの如く、傲慢とは全く異なった、姿勢で、描く姿を美しいとすら思う。「ほたるが/〜/くらげのように飛んでいく」とか「途中で出会うはずの/〜/とたずねてやる」とか云われたら、もう。ただ、好き。でも、このままでは多くの方には決して容易には受け入れられないだろう。今後詠理さんが、どんな方向を選んで往かれるのか、ますます楽しみでならない。

他に心に残った作品の、No.、タイトル、心に残ったワードのみを駆け足で。

>2 「夏目漱石的 狂夢想詩」(つまりただ単に欲しい/それだけらしい)
>3「それぢゃあね」(携帯電話の着信メロディは/トルコ行進曲
/ねぇ/心に響くだろ/大嫌いなんだ/この曲)
>5「いちご」(木の芽萌やしの雨)
> 10 ”眼車”さんと云うペンネームに衝撃。格好エエ。
>12「死ぬんでしょ」(これはいいけど あれはだめ か)
>14「捨てユルスタイル」タイトル。
>15「ランダムに塗られた油絵の具」(ここは墨絵の世界なんかじゃない)
>16「京橋にて」(徹夜明けにバスに揺られながらウトウトして)
>17「ジェリーフィッシュの夜」(指一本で間抜けなピアノを弾くような 空しい気持ちを抱えて、)
>18「小景」タイトル。
>20「欲望の眠り」(穴に震え、震えに身を任せるように)
>24「太陽がいっぱい」(スパゲティの鮮やかな花が野に一面に咲く)
>26「color creation 」(この世に色を落すとしたら)
>28「twilight lights」(今も金色の尾を彼方にビールを煽る)

今月もミナサマありがとうございました。以上。(佐藤yuupopic)
 
票者:このバトルへの参加作者


感想:これだろう。
語彙はまったく難解でなく、そんな小さな素朴な生命の堆積して、えもいわれぬ感覚以上のものをもたらす。なんというかこの作品、確かに伝統を継いでいるのを感じる。私には絶対できないだろうと思う点であるからなおさらいい。
>大きな亀はどこへいったか
>目だけ動かし
>池を見やると
>すぐ目の前を
>顔だけのぞかせ
>現れた
表現に富んでいるわけではないが、なんて諧謔心のある動きか。
あえて難をいわせてもらえば、ここの「が」と、最後の段落の「が」は、確かに場面はダイナミックに転換はするけれど、ここではむしろ流れをひどく濁らすほうが強いように感じた。それにしても気持ちのかろやかな詩だった。
票者:このバトルへの参加作者



夏目漱石的 狂夢想詩  ゆふな さきさん
 
感想:完全に自分の好みで選ばされてもらいました。

何がいいとか、具体的に言うよりほとんど直感で、この詩が自分の持っている感性がこの詩の近くにあるような気がしたので投票させてもらいました。
票者:このバトルへの参加作者



「いつか」なんて信じないけど  柳 戒人さん
 
感想:詩とかいて「うた」と読む! まさにこれだ。
主張は大事だとおもう。でも韻もなかったり、言葉が難しかったり、なんかそういうのは青年の(まさに死に囚われる青年時代のだ)主張みたいで、僕にはまだ(あるいは、もう)楽しめない。そこへくるとこれはいい。うたです。言葉の旋律がいいよね。
票者:その他のQBOOKS作者



平成の日本刀  箱根山険太郎さん
 
感想:なんだか「ラスト・サムライ」を思い出した。
本当の侍魂は残念ながら僕には残っていないようだ。だから、憧れてしまうのだろうか。でも、なんちゃって、の日本人にはなりたくないと思った。
票者:このバトルへの参加作者



嘆きの経  蒼樹空さん
 
感想:文章の装飾がお得意なのでしょうね。
いつもデコレーションされた言葉の運びが作者らしいです。

票者:その他の作者



京橋にて  大覚アキラさん
 
感想:僕もこの街に、少し前まで住んでいました。バスがどの道を走っていたのかも、イタイほど解ります。
僕は、黄昏時に大川から見える大阪城がとても好きでした。
今でも、「グランシャトーがおまっせ!!」という気の抜けた音楽と、
「王将」という、えらく気合いの入ったラブホテルの看板を見ると、
なんだか不思議な気持ちになります。
票者:このバトルへの参加作者



猫ばあさん  村上かおるさん
 
感想:ちょっと整合性が取れてない気がするが、ラスト一連にとてもどきりとしました。まあいろいろ考えようがありますね、本当に。
票者:このバトルへの参加作者



平成アリス  児島柚樹さん
 
感想:今回はこれ。
『まるでワンダーな夢でも見たみたい』
この一行が忘れらんなくなっちゃったから。
苦しい目覚めのホットミルクティーには、キャラメルティーの葉っぱ使うと、いいですよ。あまりの甘ったるさに、色んな事、忘れちゃうし。

次はエントリ27佐藤yuupopicさんの『アナザー、ニュータウン』
yuupopicさんのはいつも好き。
「好き」って云う言葉(今回で云う『とても、 好きだよ』みたいなところ)がいつもさらーっと書かれていて、うわっ!って、好きだわっ!って、思うんですよ。
票者:このバトルへの参加作者


太陽がいっぱい  ぶるぶる☆どっぐちゃんさん
 
感想:ぶるぶる☆どっぐちゃん さんの「太陽がいっぱい」に一票。
やはりこういうの好きらしい。
まいったなぁ。

その他、目に留まったのは以下の二作でした。

12 死ぬんでしょ ヨケマキル さん
27 アナザー、ニュータウン 佐藤yuupopic さん

票者:このバトルへの参加作者


アナザー、ニュータウン  佐藤yuupopicさん
 
感想:本当はもっと気楽に読めて、いい気分にさせてくれる詩が好きなので、マリコさんの「夏の気配」に投票しようと思ったのですが、また今月も佐藤さんです。この人の感性で、この人の力量で、このシチュエイションで詩をかかれちゃあ、かなわないっす。
お上手です。圧倒されました。
票者:このバトルへの参加作者


夏の私  詠理さん
 
感想:今回は、自分のチューニングでキャッチできる作品が
なかなか見当たらず、困惑しながら読み進めていったら、
最後の最後にこの作品に出会えて、救われた。
訴えかけてくる作品はいくつかあったのだけれど、
単に好みでなかったり、伝わるものが足りなかったり。
この詠理さんの作品は、読む楽しさ、というか、
言葉を追いかけて、自分の頭の中に情景を映していく楽しさがあった。
言葉から刺激されて自分の描く映像と、
詠理さんが描いて見せたかった映像が、
まるで滲みながら、溶け合うように、時には重なり合って、
また時にはずれて不協和音を奏でながら、しかし、
あくまでも映像は流れていく。そういうカンジ。
おもしろかったです。(大覚アキラ)
票者:このバトルへの参加作者


なし  
 
感想:今回はなし。で。
琴線を逆撫でされるような物は
幾つか在りましたが。
私生活が落ち着いていれば
そんな感じ方をする事はなかったのでしょうが
今は読んでもイライラしてしまうだけでした。

第何回バトル、作者名、作品名の入る
ボタンの設置は素晴らしいと思いました。
票者:このバトルへの参加作者





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