第5回詩人バトル
poem15
果てない空に覆われて 果てない道を歩くことに 迷いなんて無いのです。 老人は分厚い本を読みながら呼吸をやめて、 そのベンチの片隅では男と女が唇を重ねて、 明るい陽射しを浴びた空腹のハトは イビツに空へと羽ばたきました。 突然、線を突き付けられたのです。 ここから先にはもう進めないのだと。 果てない闇が支配を始めました。 果てない道の真中で、涙は止まりませんでした。 朝が来て、一本の線に背を向けました。 かつて歩いた道を懐かしく思いながら、 いくつかのことを考えました。 いつかの老人の分厚い本の続きを、 今度は自分が読んでみよう。 いつかの男女に笑いかけ、 祝福の言葉を与えよう。 いつかのハトに豆をやり、 傷んだ翼を優しく撫でてあげよう。 置き忘れたものはあまりに多く、 どこまでも戻っていけるのです。 無くしたものを拾い集めながら、 いつか、どこかへ、辿り着ける。 それでいいんだ、と、思えたのです。
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